ばんがいへん

□喧嘩
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クローリーの部屋のベッドに寝転び、足をパタパタさしている私。



暇なのだ。



物凄く。




クローリーは今京都へ行っている。


フェリドさんのところだ。



恋人よりもフェリドさんを優先するなんて!!


そう思っていると……



ガチャ…





扉が開く。



「ただいま」



物凄く疲れた顔をして帰ってきたのはクローリーだ。



『……』



「……はぁ、今日もフェリド君のところへ行ったら行ったで、要件忘れたとか言い出してさ…」



『……』



「ほんと……フェリド君の派閥やめようかな」



『……』



「…………かなみ?」



クローリーはやっと、私が黙って見つめていることに気づいた。



『…………クローリーって、私よりフェリドさんの方が好きなんだ』

その言葉に、クローリーは目を丸くする。


「は?」


『いっつもいっつもいーっつもフェリドさんのとこばっか行ってさあ!!』



私のことは二の次!!

こんなとこに閉じ込めて!!


「ちょ……フェリド君は男だし、そういう気は『そーゆうことじゃないし!』


私はベッドから飛び出し、クローリーの横を勢いよく通り過ぎようとする。



パシッ



「いや、どさくさに紛れてどこ行くの。外はダメだよ」



『関係ないじゃん!私なんてどーでもいいんでしょ!』


私はクローリーの手を振り払おうとする。


だが……



案の定振り払えない。



『離してよ』


「離さない」


『……嫌い』


「…………僕は好きだよ?」



そんなことをサラッと言ってくるもんだから……


つい、カァッと赤くなってしまう。



「あはは、ほら、ベッドに戻ろう?ちゃんと今日は相手をして……『いらない!やだ!私は外へ行く!!』



バタバタと身体を動かす。



「…………かなみ、そろそろ僕も怒るよ」



ギュッと手首を握る力が強くなる。



『っ……こ、怖くないし!クローリーなんて怖くな……い』



そう言った瞬間



グイッ……





引き寄せられ、クローリーの腕の中へ入った。




「これ以上騒ぐなら、血を吸って気を失わせるよ?僕もフェリド君案件でイライラしてるんだ」




私の首筋に、ピトリと牙の感覚が伝わった。







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