short(旧)

□◉構って欲しくて
1ページ/2ページ

『捕まえたー!』

「っ……」

私は後ろから、第三位始祖様であるレスト・カーを抱き上げた。

「な、なにする!?」

『ほんと可愛い〜……私、レスト君好きだよー』

ギュウっと抱き締め、彼の頬に頬擦りをした。

「ふ、ふざけるな!……ギールス様のお気に入りでなければお前なんて殺してやるのに……」

『ふふっ、残念でしたー』

ここは第二位始祖ウルド・ギールスの拠点であり、今いるところは私の部屋だ。

「お前はギールス様の血で吸血鬼になったんだ!僕より位は下だぞ!」

『うふふ、バタバタして可愛いー』

すると、急に身体が傾き、近くにあったソファーに倒れこんだ。
どうやら、私に抱き締められていた彼の反撃が来たようだ。いつのまにか彼は私の上に覆い被さっている。

「嘗めるのもいい加減にしろ」

まぁ当然の結果だ。力じゃこの小さな可愛い吸血鬼には敵わない。

「ギールス様のお気に入りだからって…」

その時、がちゃりと扉が開く音がした。


「何してる」


私と上に乗っている彼は扉に目を向けた。そして…


「あ……ぎ、ギールス様……」


上に乗っている彼、レスト・カーは顔色をみるみる変える。まずい……と言ったように引きつらせた。

『キャー!ウルドっ!レスト君に襲われそうなのーっ』

「なっ、馬鹿!何をっ!!」

レスト君はまた更に焦った表情を浮かべる。

「ちがっ……違うんですギールス様!!」

ウルドはそれを見て、小さくため息をつく。

「分かっている……どうせカナミの戯れだろ。悪いな。帰っていい」


そう言われ、私の上にいた可愛い吸血鬼はホッとした表情を浮かべる。そのまま私から飛び退き

「では……失礼します。ギールス様」


軽くお辞儀をして、強く私を睨んでから出て行った。

私はソファーから起き上がる。


『あーあ……帰っちゃった』

「カナミ……お前の力せいぜい第七位始祖程度だ。もう少し自覚を持て」

そう言ってウルドは私を呆れたように見た。

『別に……可愛い吸血鬼と遊んでるだけだよ?』

「お前はそんなにレスト・カーが好きなのか?」

不満そうな顔をするウルドを見れば、少し意地悪したくなってしまう。

『うん!可愛い子大好き〜』

それを聞くとウルドはあからさまに機嫌が悪くなった。


「悪かったな、可愛げない男で」

そして、ソファーに膝をたて私の腕を掴む。そのまま押し倒してくる彼に抵抗はできなかった。


『……怒ってるの?』

「他の男に押し倒されているところを見て……気分良く入られると思うか?」

『ふふ…余裕そうな顔してたのに……ヤキモチ妬いてたんだ〜』

へらっと笑うと、いつの間にか彼との距離は0になっていて…
苦しくなるほどのキスに変わる。


逃げようとしても離してくれず、何度も振り解こうとするが、第二位始祖の力には勝てるわけなかった。




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ