short(旧)

□◎逃走
1ページ/5ページ

『ハァハァハァッ……』





ガチャッ……




『っ…………あった……』




机の上に、私の鬼呪装備が置かれている。



黒鬼シリーズの鬼呪装備である。



貴族一人くらいなら……




なんとかなる。




だが……



この名古屋市役所には……



今5匹の吸血鬼がいる。



元から、クローリー・ユースフォード/チェス・ベル/ホーン・スクルドはこの名古屋市役所にいた。


だが運悪く、今日はフェリド・バートリーと百夜ミカエラという吸血鬼がこの名古屋市役所に来ているのだ。



牢に閉じ込められていた私は、この日やっと逃走に成功した。


だが丸腰のままでは勝つことはできない。


なんとか……



鬼呪装備を見つけ出すことができたのだ。





「あ、やっぱりここにいたー!」


扉から声がした。



私は振り返る。



「全く、クローリー様の手を煩わせないでください」



そこにいたのは、2匹の吸血鬼。



「早くクローリー様を呼んで来なきゃっ」




チェスと呼ばれる方の吸血鬼が、後ろを向いた。




『っ!させるか!!』




私は日本刀を鞘から抜き、思いっきり振り上げた。



斬撃がブーメランのように飛んでいく。




「っ……貴様っ」


ホーンは鞭をうねらせ、その斬撃を弾いた。



その瞬間、私はチェスの方へと飛びかかり……



『死ねぇ!!!』




キィィインン




「っ…」


チェスも咄嗟に、腰の剣を抜いた。





「あんたねぇ……人間のくせに……」



ギリギリと押し出される。



「こんなことして……ただで済むと思ってんの?」



ガンっ




お腹にチェスの足がめり込む。




『ぐはっ…』




私はそのまま後ろへと飛ばされる。




ガシャーーーーン




窓ガラスを割って…




外へと放り出された。




ズシャッ…




幸い、二階であったためにそこまで大きなダメージはない。


むしろ、外に出られた。



そのまま逃げ切ってしまおう。



私はそう思い素早く立ち上がった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ