short(旧)
□◎逃走
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『ハァハァハァッ……』
ガチャッ……
『っ…………あった……』
机の上に、私の鬼呪装備が置かれている。
黒鬼シリーズの鬼呪装備である。
貴族一人くらいなら……
なんとかなる。
だが……
この名古屋市役所には……
今5匹の吸血鬼がいる。
元から、クローリー・ユースフォード/チェス・ベル/ホーン・スクルドはこの名古屋市役所にいた。
だが運悪く、今日はフェリド・バートリーと百夜ミカエラという吸血鬼がこの名古屋市役所に来ているのだ。
牢に閉じ込められていた私は、この日やっと逃走に成功した。
だが丸腰のままでは勝つことはできない。
なんとか……
鬼呪装備を見つけ出すことができたのだ。
「あ、やっぱりここにいたー!」
扉から声がした。
私は振り返る。
「全く、クローリー様の手を煩わせないでください」
そこにいたのは、2匹の吸血鬼。
「早くクローリー様を呼んで来なきゃっ」
チェスと呼ばれる方の吸血鬼が、後ろを向いた。
『っ!させるか!!』
私は日本刀を鞘から抜き、思いっきり振り上げた。
斬撃がブーメランのように飛んでいく。
「っ……貴様っ」
ホーンは鞭をうねらせ、その斬撃を弾いた。
その瞬間、私はチェスの方へと飛びかかり……
『死ねぇ!!!』
キィィインン
「っ…」
チェスも咄嗟に、腰の剣を抜いた。
「あんたねぇ……人間のくせに……」
ギリギリと押し出される。
「こんなことして……ただで済むと思ってんの?」
ガンっ
お腹にチェスの足がめり込む。
『ぐはっ…』
私はそのまま後ろへと飛ばされる。
ガシャーーーーン
窓ガラスを割って…
外へと放り出された。
ズシャッ…
幸い、二階であったためにそこまで大きなダメージはない。
むしろ、外に出られた。
そのまま逃げ切ってしまおう。
私はそう思い素早く立ち上がった。