short(旧)

□◎取り合い
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「上司の命令だよ?」




深夜少将は、ニコニコと私にそう言った。



『………いや……でも……流石に……』



壁に追いやられながら、私は必死に断るための理由を探す。


いや……


普通に断れるはずなのだ!



何故なら


"今夜僕の部屋にあそびにおいで"

というお誘いなのだから……



「今日忙しい?」



『いえ……そういうわけじゃ……』



「じゃあ決まり〜」



肩を引き寄せられ




「かなみちゃんとゆーっくり話ししたかったんだ」




断ることもできず、深夜少将の部屋の方へ……



その時



「おい、後輩にセクハラしてんじゃねーよ」



「げ……グレン」



やってきたのはグレン中佐!!



「こいつは今日、俺の部屋に来るっていう用があるんだよ」


そう言って、深夜少将から引き剥がされ、そのままグレン中佐の元へ……



って……



え?



「……かなみちゃん、聞いてないって顔してるよ?嘘でしょグレン」


「ちっ……空気読めない顔だな」



ムニッと頬をつねられる。



『っ!?』



何故私はこんなことに巻き込まれてるの!?



「とにかく……お前の部屋には行かせねぇ」


「えー?僕の方が上司だよ?グレン」



私の腕を掴み、引き寄せようとする深夜少将。




「は?お前が上司だなんてこれっぽっちも思ってねぇよ」



離してくれないグレン中佐。




『あ……あの……痛……痛い……』




「ほら、かなみちゃんが痛がってるよ?離してあげなよグレン」



より一層引っ張る深夜少将。



「お前が離せ馬鹿」



離そうとしないグレン中佐。




ひ、引きちぎれ……



『あ、あの!!!お、お話があるなら私の部屋で!!三人でしませんか!?!?』




私は大きな声でそう言った。
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