short(旧)

□◉僕だけに
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吸血鬼なのに……


私の血は美味しい。



だから……





「カナミちゃーん」




後ろからフェリドに抱き締められる。



いや……



捕まえられたという方が正しいのかもしれない。



逃れようとしても、全く動くことができない。




『フェリド……離して』


「えー?やだー」




首筋に鼻を近づけ


「それに……もう我慢できない」



我慢なんて一切してないじゃないか!



そう叫ぼうとした瞬間




プシュ……



『うぐっ……』




フェリドに牙を許してしまう。




棚のガラス戸に映る、フェリドの顔がとても官能的で……



そのフェリドに吸われている私の顔も……なんだか少し熱を帯びているように見えた。



『やめ…………』




ガチャ……



その時、扉が開いた。




「…………何してるの」




後ろから首筋を噛まれているカナミを見て、ものすごく軽蔑した目をするクローリーの姿があった。




「…………あは〜……まだ少ししか吸ってないのに〜」



フェリドが手を離した瞬間……



私はその場に膝から崩れ落ちる。



「少し?……カナミの様子じゃ……かなり吸ったんじゃない?」


「え?そうだっけ?」



フェリドの血を吸う速度は異常だ。



一気に吸い上げられ、頭がくらくらしている。



『……す……吸い過ぎ……』



「君があまりにも官能的な声出すから煽られちゃって?」



なんとも適当なことを言うフェリドに怒りは感じるが……



立とうにも立てない。



「ま……僕は満足したから帰るねー。バイバーイ」




クローリーの横を通り過ぎ……




ガチャン




部屋には



私とクローリーの二人だけとなった。
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