short(旧)
□◎素直になれなくて
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カァンッ
私の鬼呪装備はいとも簡単に弾かれて飛んで行った。
『なっ……』
そして、君月君の両刀の一本が私の喉元にピタリとくっつく。
「…………弱過ぎ」
『なっ……なななな』
「そんなんで吸血鬼に勝てると思ってんのかよ。もっと訓練しろよな」
そう言って君月君は両刀をしまった。
どういう状況かというと……
つまりは……
言い合いをしていた。
いつも通り、普段通りなのだが……
今日は私もイラっとしてしまった。
何故かというと、今日の戦い方のダメ出しをされたからだ。
君月君は私よりも年下で、さらにキャリアも下だというのに……
完全に私のことを馬鹿にしてる!
「お前は接近し過ぎなんだよ。どれだけ自分に自信がある?そこまで近付けば、敵に殺してくださいと言っているようなもんだ」
『……っ……うるさいな……年下のくせに』
「はっ、その年下にぼろ負けしてるけどな」
っ!!!
『君月君には私がどんな戦い方をしようが関係ないでしょ!!』
私は先ほど飛んで行った鬼呪装備を拾って、そのまま彼から逃げるように離れた。
「あ、おいっ…」
いっつもいっつもいーっつも!!
君月君は私に突っかかってくる。
キャリアも年も上なのに……
どうしてあんなに馬鹿にされるんだ……
それに……
なにより君月君に全く歯が立たなかったのが悔しい。
喉元に彼の両刀が来た時、なんとも屈辱的だった……
『……ムカつく……』
私は走って、走って……
渋谷の外へ出た。
私だって……強いんだから……
そう思い、一人でフラフラと壊れた街を歩いていた。