short(旧)
□◎屈しない心
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仲間が殺された。
勝てるわけなかったのだ……
こんな30人ほどの部隊で……
この第十三位始祖、クローリー・ユースフォードに……
『くそ……くそ……』
私の鬼呪装備は、今、手から離れ10pほど離れたところに小さくなった状態で落ちている。
あれに……
あれにさえ手が届けば……
私は10p先にある鬼呪装備を掴もうとした。
その時
「あれ?まだ生きてたんだ」
ギュッ……
『っ……』
その手を踏みつけられる。
顔を上げれば……
クローリー・ユースフォードだ。
「死んだフリしとけば助かったのにね」
彼は足に力を入れた。
『あっ……くっ…………う』
手の骨が粉砕しそうだ。
既に折れている気もする。
「はは、痛そうだね。……君だけ助けてあげようか?」
そう言ってクローリーは私の手から足を退け、しゃがみ込む。
髪の毛を掴んで私の顔をあげた。
「第一、その鬼呪装備を掴めたとしても……君は僕に勝てていなかったけどね」
『………私は勝てなくても……時期に来る……グレン中佐が……「勝てないよ。所詮家畜。……僕たち吸血鬼に勝てるわけないだろう」
もう片方の手で、私の首筋に爪をたてる。
「今、この首をパックリと切りつけて……血を啜ってあげてもいいんだよ?」
『……すればいい。私は…死なんて怖くない』
そう睨みつければ……
「あっそ」
クローリーは冷たい表情をしたかと思うと
手を動かした。
ビッ……
『っ………………』
首に痛みが走る。
一瞬……
殺されたのだと目を見開く。
「ふっ……怖がった顔は悪くないね」
『…………え?』
クローリーは指についた血を見せ
「少し切っただけだよ。これくらいじゃ死なない」
その指をペロリと舐めた。
「……血も悪くない」
そう言ってクローリーは、首筋に牙を立てた。