short(旧)

□◎暇潰し
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「ねぇ、ゲームをしませんか?かなみちゃん」




彼の言うことは、大抵ロクでもないこと。



『ゲーム?』




首を傾げれば、首につけられた鎖がチャリンと鳴った。




「うん。家畜を止めれるチャンスをあげよう」



ニヤリと笑って、首についていた鎖を外した。




首についていた重みが外れ、一瞬どういうことか分からず混乱していると




「僕が勝てば、君の血を今日もたっぷり吸わせていただくね。でももし……君が私に勝ったら…」




指先をビッと爪で刺せば、滴り落ちるフェリドの血……





「僕の血を君に飲ませてあげよう」




『……それ、私にはなんのメリットもないじゃない』




絶対そんなことだと思った。



彼にとって私はただの暇潰しなんだ。




「えー?でも、僕の血を飲めば君も吸血鬼になれて……家畜を止められるよ?」




『家畜はやめたいけど吸血鬼にはなりたくない』




「我儘だね」


『どこがよ』




「まぁいいや。始めようか」



『聞いてた!?』



「んーじゃあわかった。逃がしてあげる」



『……ほんとに?』





でもその言葉が出たと同時に、私は勝てないゲームなんだろうなって……



「鬼ごっこをしよう」




『……え?』



お、鬼ごっこ?




「かなみちゃんが逃げる方で僕が鬼。吸血鬼だからね」



よくわからないけど……



鬼ごっこか。隠れておけば……まだ勝機はあるんじゃないかな……





「僕が10分待つから、かなみちゃんはその間にこの建物内で好きなところに逃げていいよ。それで……1時間……いや、30分間僕に捕まらなかったら君を自由にしてあげるよ」




やってみる価値はある。




だって……どうせこれやらなかったらいつも通り血を吸われる毎日……



『やるっ』



「そうこなくっちゃね」




フェリドの何考えているか分からない笑みはいつものこと。



さすがに見つかれば彼の速さには敵わないけど…



この屋敷は広い。



隠れられるところは沢山ある。



逃げられるかもしれない!!!!
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