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□鎖の痕
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『優……私と優で……絶対に仇を取ろうね。…吸血鬼を……皆殺しにしよう……』
お互いに幼かったあの時、目の前で家族を殺されていく現実は、子供の私たちには受け入れ難かった。でも……それを受け入れないと先に進めない世界だったから、私たちはそれを糧にこの世界を生きていこうと決めた。
「あぁ……かなみ姉……俺は……絶対強くなって……あいつらを……」
目に涙をいっぱい溜めてる優は、私の目に焼き付いた。吸血鬼を殺してやる。私達家族を奪った吸血鬼を……
私と優は、日本帝鬼軍に保護された。吸血鬼の都市から、二人で逃げてきた。他の孤児院の家族はみんな死んだ。私たちの無謀な計画は、吸血鬼にバレていたわけだ。でも、私には優がいる。本当の弟ではないけれど、本当の弟のように大切な家族だ。
日本帝鬼軍に保護されてからは、二人で剣術の稽古をした。優は強かった。私なんかよりずっと。姉の私が優に負けるなんて……って思ったけど、こればかりは男の子の力なのか……
優はどんどん強くなって、あっという間に特別二等兵になったとか……
だがそれは、まだ吸血鬼を退治できるところじゃないとか……
そしてそんな中……
優よりも弱かった私が、グレン中佐に呼ばれこんなことを言われた。
「お前には素質がある。鬼呪装備の訓練を受けて、近々契約をしてもらう」
『え……私が?優じゃなくて?』
「あー……あいつはまだだ。協調性がねぇ。守るのも……お前だけだと思ってるしな」
『あー……』
それはたしかに嬉しいことなのだが……
吸血鬼殲滅部隊に入るなら協調性が必要だ。チームで動くのに、協調性がないものがやっていけるわけがない。
「お前は基本能力もそれなりに高い。……もう、外へ出ても問題ないだろう」
グレン中佐にそう言われ、私は背筋を伸ばす。
『やっと……吸血鬼に復讐できる……』
ぽつりと呟いた言葉に、グレン中佐は顔をしかめ
「復讐ばかりにとりつかれるな。……鬼はそういう感情が大好きなんだ。今残っている家族を守る気持ちを持て」
『あ……はい』
「気の抜けた返事だなぁおい」
グレン中佐は呆れたように笑う。
そして、翌日から鬼呪装備の訓練が始まり、私が鬼と契約するのは、そう時間はかからなかった。
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