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□構って欲しくて
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かなみは市役所の廊下を歩いている。クローリーの部屋へ向かうためだ。


その時、向こうからいそいそと歩いてくる彼の姿が見えた。


『クローリー!』


かなみが名前を呼ぶと、クローリーは急いでいた足を止める。


「あ、かなみ。どうしたの?」

『今ちょうど、クローリーの部屋へ行こうとしてたんだよ?……もしかして、どこか行くの?』


クローリーは明らかに急いでいた。それに、私がクローリーの部屋へ行こうとしていたことを聞くと申し訳なさそうな顔をして


「ごめん。今から京都へ行くんだ」

『フェリドさんのところ?』

「……うーん、まぁ彼に会うかは分からないけど……貴族会議が行われるんだ」

『……昨日もあったよね?』

「最近こっちの世界も忙しくなってきてるみたい。なんだか騒がしくてね。……って……何か疑ってる?」


私はムッとした顔を見せていたらしく、クローリーは首を傾げた。

「浮気とかじゃないから心配しないでよ」

『……浮気は疑ってないけど……』

「あ、そろそろ行かなきゃ……ごめんね。かなみ」


クローリーは私の肩にポンっと手を当て、そのまま私の横を通り過ぎて行った。

私は彼の後ろ姿を見て、少し寂しく思う。貴族会議なら仕方ない。貴族の仕事なんだ……仕方ない。

そんなことはわかってるんだけど……


『クローリーが私を連れてきたくせに……』


やはり、相手をしてもらえないのは寂しくて死んでしまいそうだ。どうせなら、私もサングィネムへ連れて行って、ミカ君と遊ばせてくれればいいのに……


まぁそんな事を私が言ってしまえば、クローリーはミカ君を殺しかねない。ミカ君と遊べるのはクローリーが機嫌がいい日だけなのだから、無理な話か。


それにしても暇だ。

名古屋市役所には遊ぶものが何もない。本棚にある本はほとんど読んでしまっている。

私はとぼとぼとクローリーの部屋へ向かう。自分の部屋へ戻るのもなんだか寂しくて嫌だ。

クローリーの部屋で彼の帰りを待っていよう。


そう思い、私は執務室の扉を開けた。




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