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□永遠の愛を貴方に(続編)
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少し前、私はクローリーに吸血鬼にされた。私の同意のもとに……
いや、ほとんど脅しだ。
私があれを断ったところで、仲間が殺されただけだった。
優、与一、君月、三葉……
そして、シノアが死ぬところなんて絶対に見たくなかった。
でも……その代償がこれなのか。
赤くなった目、鋭く尖った牙と爪……。自分の姿を鏡で見るたび、涙が出そうになった。私は、もうみんなと一緒にチームとして戦うことはできない。吸血鬼殲滅部隊、月鬼ノ組に戻ることはできない。
どうしてあいつは、私に目を向けたのだ。どうして……私なのだ。私が何をした。仲間と闘う道を断たれた今、私はせめてもの抵抗で毎日この市役所から逃げようとしている。そんなことさえ、彼は子供の相手をするように簡単に阻止してしまう。彼に掴まれれば、もう絶対に逃げられないと感じる。私にはもう……ここから出る術はないようだ。
ゆっくりと目を開ける。
頭がボーッとしていた。
貧血がまだ残っている。
だが、吸血鬼になってからは回復力は上がった。彼に沢山血を吸われても、すぐに意識は戻った。
「おはよう」
甘い声が隣から降ってくる。意識がはっきりして、私は顔を向けた。
「今日は沢山相手をしてあげるよ」
柔らかく笑う彼は、私から何もかもを奪ったクローリーだ。
『いらない。出て行って』
「君は放っておくと直ぐにどこかへ行っちゃうからね。あの時だってそうだ。サングィネムでも勝手に抜け出して……」
彼の大きな手が、私の頭を優しく撫でる。その手つきが柔らかく、嫌に優しい手つきで、寒気が走る。
『逃げるに決まってるでしょ……あんな監禁されて……今だって……いつかここから逃げてやるってことしか思ってない』
キッと睨み付けると、クローリーは困ったように笑う。
「逃げられないことくらいわかってるだろ。……もうその身体で、戻る場所なんて無いはずだ。かなみには僕しかいないんだよ?」
そう言って、ベットに座っていたクローリーは屈んで、私の唇にキスを落とす。
私は咄嗟のことで避けれなかったが、もう彼とは何度もしている。逃げても、逃げても……意味がない。
「今日は大人しいね」
クローリーは楽しそうに、もう一度キスをした。固く閉ざしていた唇に、下を割り込ませてくる。無理に絡めようとしてくるその舌を、私は勢いよく噛んでやった。
ふわんっと口に血の味が広がる。そのせいで、自分の中の吸血欲求がふつふつと呼び出される。
「…………大人しいとおもったらすぐこれだ」
クローリーはゆっくりと私から離れる。ツゥっと口から血が垂れていた。
「そんなに血が飲みたいの?」
『っ……違う……あんたが……』
クローリーは私の話なんて聞かず、ぷちぷちと自分の服のボタンを外す。
『なっ……にして……』
私は警戒心むき出しで、布団で身体を隠した。
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