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□君と共に
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昔から頭はいい方だった。
だから、戦うよりも、研究者の道の方が向いているといわれ、日本帝鬼軍では研究棟での仕事をしていた。



「かなみー、研究進んでるー?」


『あ、深夜!……勝手に入ってきちゃダメって言ってるでしょー」


かなみは書きかけのカルテを机に起き、出入り口から覗いてきた深夜に駆け寄った。



「いいじゃーん。幼馴染で恋人だよ?」

『関係ありませーん。関係者以外立ち入り禁止なんだからね』


私はうんと背伸びをして、深夜の首に紐で繋がれた"許可証"をかけた。


「あはは、ありがと〜。今日は研究何時まであるの?」

深夜は、結んであるかなみの髪をいじりながら聞く。


『んー……もうすぐ終わるよ?今日は私の部屋に泊まっていく?』


「うん!今日でやっと任務が終わったからさ、明日はOFFなんだ」

『そっかー、お疲れ様。明日は私も午後からだから、ゆっくり相手してあげるよ〜』


そう笑って深夜に言うと、彼は嬉しそうに笑う。


「ほんと?じゃあ沢山甘えちゃおうかなー」


深夜の腕が伸び、かなみの体を包み込もうとした。


それに気づいたかなみは、ペチンっと深夜の手を叩いて


『ここでそうゆうことしないの』


素早く深夜から離れた。


「えー……じゃあ夜にいっぱいしていい?」


彼はとても綺麗な笑みでかなみを見た。

かなみは堪らず目線をそらし



『……はいはーい、研究の続きしますから部外者は出てってくださーい』


深夜を押して、出口へと向かわせた。


「もー……素直じゃないなー」


深夜は笑いながら、自分の首にかかった許可証を外し、かなみの首にかける。



「楽しみに待ってるねー。研究頑張って?」


そして、軽く頬にキスをして研究室から出て行った。


『っ…………』



かなみが頬を抑えていると……


「……かなみさん、仕事してくださいよ?」


ふと、聞き覚えのある男の声に振り返る。


『うわぁ!?速水君!?』


彼は、私の部下で、研究員の一人である。

「彼氏さんが柊家って……強いですね」


『いやぁ……養子だし……って、そういうので付き合ってるんじゃないからね!?』

「わかってますよ。研究戻りますよ。かなみさん」



彼は私の一番の部下で、信頼している。
偶に毒舌だが、研究に対しては人一倍熱心だ。


「それより、研究のお金…もう少し何とかならないんですかねー」

『あー、たしかに。何かの研究でそっちばかりに資金がいってるんだっけ?』


すると、速水は嫌そうな顔をして


「なんの研究かもわからないのに……ほんといい迷惑です」


かなみは苦笑いを浮かべる。

日本帝鬼軍が行ってる実験は、吸血鬼のものともう一つ……
内密にされているものがあった。

きっと、知ってはいけないものなのだと思う。


『まぁ、仕方ないよ。詮索はしちゃダメだよ?速水君』


「……はーい」


彼は面白くないといった顔で、研究室へ戻っていった。



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