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□甘えてみせて
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私、大神かなみは、元帝鬼軍月鬼ノ組で軍曹をしていたのだけど……

何故か吸血鬼の貴族、クローリー・ユースフォードに気に入られてしまい、結局はこの名古屋市役所で一緒に住むことになった。


今は一応……恋人同士なのだが……



私は新たに、ピンチを迎えていた。



『それ以上近づいたら殺す』


私はクローリーを睨み上げた。


「威勢がいいね。可愛い強がりにしか思えないけど」


クローリーは御構い無し、私とさらに距離を詰めた。


ドンッ……



私の背中に壁が当たる。


『ほ、ほんとに……ころ…「はい捕まえた」


私の両手首は簡単に掴まれ、そのまま壁へと押し付けられてしまう。


『は、離してっ』

「往生際が悪い。……第一、君がまだ僕に血を吸われたいから人間でいるとか言ってなかった?血を吸おうとしたら逃げるってどういうことだよ」


う……


そうなのだ。

最近、クローリーの吸血を嫌がっている私は、とうとうこんな風に追い詰められてピンチと化している。


『だ、だって!最近クローリーの吸血痛いんだもん!!』


「それは君が身体を固くしてるからだろ?もっとリラックスして力抜いてって言ってもなかなか抜かないし…」


『そ、それは……』



そう……実は……

付き合い始めてから、クローリーの吸血に緊張して身体が固まってしまう。

それを悟られまいと今まで逃げてきたが……

「もう我慢できないよ。今日はなにがなんでも吸ってやる」


ギリギリと手首が締め付けられる。


『く、クローリーこそ最近吸血荒くない!?だから痛いんだよ!もっと優しく吸えないの!?』


負けじと睨み上げ、威嚇する。


「荒くないよ。君が力を抜かないのが悪い。それに、優しくして欲しいならもう少し態度改めようとか思わないの?」


クローリーはため息をついて、私の首筋に顔を近付ける。


「可愛く甘えて、優しく吸って下さいクローリー様…って言えたらうんと優しくしてあげるよ」


首元でそんな声が響く。


『な………私そんなキャラじゃない!』

「じゃあそんなキャラになってよ」

『なれるわけないでしょ!』


私は勢いよく右足を振り上げた。


ビュンっと風を切って強い蹴りを入れるが…


パシッ


「反抗しないで素直に甘えたら優しくしてあげるのに…」


クローリーは私の足を簡単に掴んで、上にあげていく。


『え……ちょ……キャーーー』

「うるさい」

『スカート!私スカート!』

「君が足を上げて来たんだろう」


クローリーはやれやれと言った表情を見せてから、もう一段階足を上に上げる。

そうすれば私はバランスを保てなくなり……



ズリッ



『ひゃあっ!』


その場に倒れ込みそうになった。



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