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□甘えてみせて
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「やっと素直になった。……君はこれくらい興奮させないといけないんだね」


クローリーは嬉しそうに、今度は前から、先ほどの肌の横に牙を突き刺した。


『っ……』


先程とは違って……

なんだかもどかしい……


そこじゃない……

そこじゃないのに……


『クローリー……意地悪……しないで……』


私は彼の頭に手を添えて、そっと自分の方に引き寄せるよう力を入れた。


クローリーは抵抗せずに、牙をもっと深くへと入れてくれる。


そこでやっと……


思っていたところに牙が当たる。


『っ……あ……あ……』


そこから、勢いよく血を吸われる感覚。

先程はゆっくりだったのに……


その一瞬で頭は真っ白になる。


痛いような、気持ちいいような、何も考えなくなくなって……


私はそのまま、彼に身体をぐったりと預けた。



「…………っと……危ない危ない……」


クローリーは素早く牙を抜いた。


「かなみの血が、何時もより熱くて濃いから…吸いすぎちゃうところだった。……って、あれ?もう吸いすぎちゃってた?」


ぐったりとして、クローリーから離れない私を見て、彼は私の頭を優しく撫でる。


『…………クローリー……』

「ん?」

『もうちょっとだけ……このままでもいい?』


彼の身体にぐったりと体を預けている私は、なんだか堪らなく幸せで……まだ暫くはここから動きたくなかった。


「……甘えてくれてるのかな」


『っ……そう……思うなら思っていいよ』


「じゃあ、クローリー様大好きって言ってよ」


『…………』


「あはは、無理か」


『……クローリー……大好き……』


「様は?」


『ちょっ!今頑張ったのにそういうこと!!!』


勢いよく上を向いた瞬間、唇を奪われる。


『っ……!』


甘く、深いキスをした彼はふわりと笑い


「うん。……すごく満足だよ。かなみ」



もう一度、深く……深くキスをした。











【END】
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