request(旧)
□甘えてみせて
1ページ/7ページ
私、大神かなみは、元帝鬼軍月鬼ノ組で軍曹をしていたのだけど……
何故か吸血鬼の貴族、クローリー・ユースフォードに気に入られてしまい、結局はこの名古屋市役所で一緒に住むことになった。
今は一応……恋人同士なのだが……
私は新たに、ピンチを迎えていた。
『それ以上近づいたら殺す』
私はクローリーを睨み上げた。
「威勢がいいね。可愛い強がりにしか思えないけど」
クローリーは御構い無し、私とさらに距離を詰めた。
ドンッ……
私の背中に壁が当たる。
『ほ、ほんとに……ころ…「はい捕まえた」
私の両手首は簡単に掴まれ、そのまま壁へと押し付けられてしまう。
『は、離してっ』
「往生際が悪い。……第一、君がまだ僕に血を吸われたいから人間でいるとか言ってなかった?血を吸おうとしたら逃げるってどういうことだよ」
う……
そうなのだ。
最近、クローリーの吸血を嫌がっている私は、とうとうこんな風に追い詰められてピンチと化している。
『だ、だって!最近クローリーの吸血痛いんだもん!!』
「それは君が身体を固くしてるからだろ?もっとリラックスして力抜いてって言ってもなかなか抜かないし…」
『そ、それは……』
そう……実は……
付き合い始めてから、クローリーの吸血に緊張して身体が固まってしまう。
それを悟られまいと今まで逃げてきたが……
「もう我慢できないよ。今日はなにがなんでも吸ってやる」
ギリギリと手首が締め付けられる。
『く、クローリーこそ最近吸血荒くない!?だから痛いんだよ!もっと優しく吸えないの!?』
負けじと睨み上げ、威嚇する。
「荒くないよ。君が力を抜かないのが悪い。それに、優しくして欲しいならもう少し態度改めようとか思わないの?」
クローリーはため息をついて、私の首筋に顔を近付ける。
「可愛く甘えて、優しく吸って下さいクローリー様…って言えたらうんと優しくしてあげるよ」
首元でそんな声が響く。
『な………私そんなキャラじゃない!』
「じゃあそんなキャラになってよ」
『なれるわけないでしょ!』
私は勢いよく右足を振り上げた。
ビュンっと風を切って強い蹴りを入れるが…
パシッ
「反抗しないで素直に甘えたら優しくしてあげるのに…」
クローリーは私の足を簡単に掴んで、上にあげていく。
『え……ちょ……キャーーー』
「うるさい」
『スカート!私スカート!』
「君が足を上げて来たんだろう」
クローリーはやれやれと言った表情を見せてから、もう一段階足を上に上げる。
そうすれば私はバランスを保てなくなり……
ズリッ
『ひゃあっ!』
その場に倒れ込みそうになった。
.