ばんがいへん
□手錠
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『な……にこれ……』
私の右手首には、銀色の輪っかがはめられている。
そして、それは15pほどの鎖で繋がれ、その先にはミカ君の左手が同じような輪っかにはめられていた。
「手錠だよー」
見たらわかる。
何故そんなことを!?
「何の真似だフェリド。これを外せ」
ミカ君はとうとう剣を抜いた。
「えー、ヤダ♪」
フェリドさんは相変わらずニヤニヤしている……
ミカ君はそんなフェリドさんを見てため息をついてから
「ならいい……こんな鎖……」
ミカ君は剣を軽く上に上げ……
「あ、ミカ君それ……」
フェリドさんの言葉など聞かずに振り下ろした。
ギィィィンッ……
『っ……!!!!!!』
鎖は切れることなく、ミカ君の剣を受け止める。
だが、そんなことより……
「っ……かなみ!?」
私はあまりの痛さに俯いて、声にならない声を出した。
なんだこれは……
鎖を伝って衝撃が手首に響く。
しかもその衝撃は、私の手首の骨にミシミシと軋むような痛みを与えた。
「あはー……それくらいの力じゃ、その鎖は切れないよ〜。もっと力を込めて本気で剣を振り下ろしたら切れるけど……そんなことしたら近くにいるかなみちゃんもタダじゃ済まないことくらいわかるよねー」
「フェリド!」
「それに、今の衝撃を何回か鎖に与えたら鎖は切れるけど……その前にかなみちゃんの手首が衝撃に耐えられなくて折れちゃうと思うよ。人間は脆いからね」
あぁ……そうだと思う。
一度の打撃で、ここまで響いて痛みが治まらない。
こんなこと何度もされたら、確実に手首は使い物にならなくなってしまうだろう……
「かなみ!大丈夫か!?」
ミカ君は私を心配して覗き込む。
「っ……!」
私は心配させまいと顔を上げたが……
それは逆効果であることに気付く。
「あはー……痛くて泣いちゃった?」
フェリドさんに言われ、ハッとして再び下を向く。
どうやら痛すぎて、涙が出てしまったようだ。
「ご、ごめん……かなみ。ごめ…『み、ミカ君のせいじゃないから……気にしないで?それに、ちょっと痛くて反射的に涙が出ただけだから…』
まだビリビリと痛む手首を右手で撫でながら笑って顔を上げる。
その時
「フェリド君!!!!」
クローリーが焦った顔で扉から入ってきた。
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