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□特別な血
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ギュルギュルギュルギュル……



『っ…………』


「どうした?今日は調子が悪いな」


柊暮人は私の顔を見てそう言った。

昨日……血を吸われたからか……

いつもなら回復してるはずの身体が、今日はまだ本調子じゃない。

血が無くなればすぐに目眩がして、ムカムカと気持ち悪くなってきた。



「…………今日はここまでか。死なれても困るからな」


腕に刺さっていた管は抜かれ、ほとんど意識が無い状態で私は部屋へと運ばれた。


今日は……ギターを取りに行けないかもしれない……


ふと、窓の外を見た。

灰色の雲が遠くに見える。


これは……まずい……

雨が降るかもしれない。

ギターが濡れては大変だ……


そう思い、ベットから起き上がろうとした。

だが、視界が急激に歪む。


『うっ……わ……』



私はベットから勢いよく落ち、そのまま意識を無くした。












どれくらい……
寝ていたのだろうか……


窓から、音が聞こえる。


雨が窓に当たってる音だ。


外は夕立?

すごい雨音……


あれ?今……何時だろう……



『………………え……』


私は起き上がり、ハッとした。

すぐに海中時計を見る。


時間は16時30分。

まだ間に合う!


私は急いで起き上がり、部屋から出て行った。


雨はすごく降っていて、地面の水溜りからして、かなりの時間降っていたのようだ。


ギターが水浸しになっているのは想像ができた。

それでも……あれは私の大事な物だ。
使えなくなっていても……ちゃんと……ちゃんと取りに行かなければいけない!


塀をくぐり、私は昨日の場所へ走った。


たしか、あの木の下に置いて……



『あ…………れ………?』



その場所に、ギターはない。


だが、木の下にもたれかかっている男がいる。


座ってうとうとしてる彼は……


木の下にいるからといっても、もう髪はびしょ濡れで……


『な、なにしてるの!』



私は大きな声で叫んでいた。





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