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□貴方と一緒に
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日の当たらない、地下都市サングィネム。


私たち百夜孤児院のみんなは、地球が滅亡したことから、この地下都市に連れてこられた。


私は別に……


この暮らしが嫌じゃなかった。


家族全員で暮らせる。


それが何より幸せだった。



「なーかなみー」



優が私を呼んだ。


『どうしたの?優』


「ミカ知らねー?」


最近、ミカがいつの間にかいないことが多くなった。


『また?……私は知らないけど』


「あいつに俺の必殺技を見せてやろーとしたのになー」



優はつまらなさそうにゴロンと床に転がった。


私は辺りを見回す。


ミカ以外のみんなはちゃんといる。


本当にどこ行ったのだろう……



『ちょっと探してくる』


「あー?ほっとけよー」


優の言葉を無視して、私は家の外へ出た。


最近、ミカの様子がおかしいことがあった。


フラフラしながら帰ってきたり……

時にはご馳走となるような食材を持って帰ってきたり……


絶対に何か危ないことをしている。

そう思った私は、サングィネムの街を探し回った。



そんな時……


ある館から出てくる彼の姿が目に入った。



私は咄嗟に、物陰に隠れた。


『…………ミカ……』



大きな館から出てきたのは、紛れもなくミカだった。


ふらふらして、今にも倒れてしまいそうな……


でも、手には食料らしきものが握られている。


『なに……して……』



ミカを引きとめようとも思ったが、彼の性格上……問い詰めても濁されて逃げられる気がした。


ミカより頭のよくない私は、ミカによくあしらわれる。


だから……



その館の主に、ミカに何しているのかと問い詰めてやろうと思った。


どちらかというと、私も優寄りの考えの持ち主なのかもしれない。


後先考えず、突っ走り……


飛び込んでしまうのが私の性格だった。




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