short(旧)

□◎名古屋決戦前夜
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一ノ瀬中佐率いる月鬼ノ組に、名古屋の貴族10匹を殲滅する指令が出された。

その指令によって、明日、月鬼ノ組は名古屋へと向かう。


私は、自分の部屋で、私と秀作と真琴が写る幼い頃の写真を見ていた。



コンコン。




扉がノックされる。


私は写真を机に伏せ、扉を開けに行った。



ガチャ……




『あ……秀作』


そこにいたのは、子供の頃から一緒にいる、幼馴染の彼。



秀作は、何も言わずジッと私を見つめた。


阿吽の呼吸というのだろうか……


私も何も言わずに、秀作を中に入れた。


適当に座って、と言うと、秀作はソファーへと座る。


『紅茶でいい?』


ポットを片手に振り向く。

彼は明らかに嫌な顔をした。



『あはは、元気ない秀作に彼女からのちょっとした冗談だよ。コーヒーでいいよね?』


「…あぁ」


複雑そうな顔を浮かべ、彼は頷いた。


岩崎秀作、鳴海真琴とは幼馴染だった。

そして、秀作とは


恋人同士だった。



『どうして紅茶がダメなのかなー』

「苦い」

『コーヒーの方が苦いと思うけど…』

「かなみはいつも真琴側だな」


ふと秀作を見ると、少しムッとした顔をしている彼。

可愛いなぁ…なんて思って

『そんなことないよ?……私は紅茶もコーヒーもどっちも好き』


コポコポとコーヒーを注ぐ。


そして、秀作の前にコーヒーを出した。



『ん…』


「ありがとう」



秀作はコーヒーを口にする。


私はそんな秀作をジッと見つめた。


そして……


沈黙が続く。



そんな沈黙に耐えられなくなって


『…………本隊から、月鬼ノ組に移動って……今からできないかなぁ〜…あはは』




そう口にした。


すると、カップから口を離し


「無理だ。…できても、そんなことするなよ」


その言葉に、私は急に、ふつふつとこみ上げてくるものがあった。



『……なにそれ…自分ばっか……危険なとこ行って……』


秀作はコーヒーを飲み終わり、カップを置く。



「かなみが本隊で良かったよ」

彼は笑ってそう言った。

その言葉に、私はプツンと何かが切れる。


『っ…………捨て駒じゃん。あんなの……月鬼ノ組100人で貴族10匹…?ふざけてる!!無理に決まってるじゃない!!そんなの!!』



自分を止められなくなって、思わず秀作の肩を掴んだ。












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