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□溺愛とは
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「ねぇ暮人」


私はソファに座り、パタパタと足を動かす。


「なんだ」


この部屋の主は、特務室の椅子に座り資料に目を通している。


『暇なんだけど』


ジッと彼を見つめても、資料から目を離すことはない。



「お前が勝手に来たんだろ」

『遊びに来てあげたんじゃん』

「中将の仕事がそんなに暇だと思ってるのか?一瀬少尉」



いつもはそんな呼び方しないくせに。

急に嫌味ったらしいやつだ。


『じゃあ部屋に入れなきゃいいじゃーん……深夜様の所にでも遊びに行こうかなー』


んーっと伸びをして、ソファにもたれかかる。


「もうすぐ終わる。そこで待ってろ」



お……


ちょっと妬いてくれてるのだろか?


そんな悪戯心が生まれる。



『明日楽しみだな〜』


そう独り言のようにつぶやく。

もちろん、暮人に聞こえるようにだ。


「…明日何かあるのか?」


彼は資料を捲りながら、興味なさそうに質問してくる。



『んー……久々のOFFだから、深夜様と渋谷の街へ行ってショッピングするのー』


「ほぉ…そうか」


あっさりとした返事。


あれ……



行くなとか言うのかと思ったけど……



『……行っていいんだー』

まぁ別に、期待なんてしてないけど。


「いいわけないだろ」


暮人を見ると、資料からやっと目を離していて


「深夜には今日までには終わらないほどの仕事を与えておく。その約束は無しになるだろう」


『えぇ!?』



私はすぐに背もたれから起き上がり。



『ちょ、嘘だから!止めてあげてよね!せっかくの深夜様のOFF!』

私のせいでそんな横暴なことされては堪らない…


「嘘?」


『ち、ちょっと暮人がヤキモチ妬くかなーって……』



ヘラヘラ笑ってみせると、暮人は大きなため息をついてから立ち上がった。



「そんなに構って欲しいのか」




頭の中で危険信号が発生する。


『え?いや……な、なんか思ってた構い方と違っ……』


ソファーの上で小さくなる私。
暮人はそのまま私をソファーの上で組み敷いた。






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