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□溺愛とは
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「構って欲しかった割には大人しいな」


狼に追い詰められた小動物のように縮こまっていた私にかけられた言葉。


私は、小動物らしくない鋭い目つきでキッと睨んで見る。


『ちょ…嘘だったんだからそういうことここでしなくても……』

「本当に嘘か?その話は」

『なっ……』


真っ直ぐ見つめられ、私はボロをだしてしまう。


『え……っと』

「深夜の仕事が増えるな」

『あぁ!……もー……』



私は顔を熱くしながら


『誘われたのは……誘われた。でも断ったよ?』

「断った?かなみが?」


逸らしていた顔だが、暮人に顎を掴まれ引き戻されてしまう。



「明日予定があったのか?」


『……な…ないけど……』

暮人の力は強くて顔をどうしても逸らすことができない。



「なら…『く、暮人がどーせ怒るだろうし……い、嫌がると思ったから!』


カァッと投げやりにそう言った。


「……お前にしては懸命な判断だ」


その瞬間、暮人の唇が私を塞いだ。


『っ……人入ってく…「俺が許可しない限り誰も入ってはこないよ」


そう言ってキスの続きが始まる。


暮人のキスはズルい。

初めは強引に噛み付くようなキスをしたかと思えば、段々官能的な穏やかなキスに変わっていく。


その経過の内に、私の頭の中は真っ白になっていくのだ。



『っん……』



もう少し……と思ったところで、暮人の唇が離れる。


急に寂しくなって、彼の腕を掴んだ。



「……なんだ、今日は随分と従順だな」


『…………私は……暮人に従順だよ……たぶん』



悔しいけどそうだ。

彼に魅せられてから、私はどうしても従順になってしまう。

悔しい……が…

逆らおうとは思えない。



「なら……もっと従順になってもらおうか」


手首を掴まれ、自由を奪われる。


そのままソファーへと身体は沈み込んだ。


『っ……もっと…って……』


暮人はかぷりと喉元に噛み付く。


『っ……!』


そのまま舌で首を舐めれば、ゾクリと身体が反応する。


「はは、本当に抵抗しないな」


暮人は楽しそうに私を抱き寄せた。







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