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□吸血行為
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胸元から、勢いよく血を吸われる。



『嫌ぁ……』



胸元から溢れ出す血を、ズズズと音を立てて吸い尽くす吸血鬼。




「……フェリド君……これってなんの拷問?僕も吸いたいんだけど……」




私を抑えているクローリーが、後ろでそんなことを口にする。



すると、胸元からゆっくりと牙が抜かれ



「吸えばー?そのまま首筋に噛み付けるでしょ?」



フェリドはニヤリと笑って、再び私の胸元に牙を埋め込む。




『痛い……嫌……』



フェリドを力一杯押すけれど、全く効果はない。



それどころか……




「じゃあ吸わせてもらおーっと」




『っ……!?』




今度は首筋にチクリと痛みが走った。



『やめ……あっ……』



後ろから、首筋に噛み付くクローリー。


ジュルジュルと、吸血音がすぐ近くから聞こえる。



胸元からの痛みと首筋の痛みに、頭がおかしくなりそうだ。


血が無くなっていく。



頭がボーッとする。


指先が冷たくなって……




フェリドを掴んでいた手に力が入らなくなる。



『やめて……くだ……さ……いっ……』



立っていられなくなってくる。


クローリーは腕に力を入れ、崩れ落ちそうになる私を許してはくれない。


まだ吸うのか……?


もう……意識が保っていられない。



胸元からも首筋からも……


牙が抜かれることはない。



このまま……死ぬのか……




運が悪いなぁ……



こんな……貴族二匹に……出会ってしまうなんて……



私はそのまま



意識を手放した。











「……ふぅ…………フェリド君、これ以上吸ったら死んじゃうけどいいの?」



先に牙を抜いたのはクローリー。



「…………いいんじゃない?家畜だし」



牙を抜いて、胸元から垂れる血を舐めるフェリド。



「でもま……もう少し楽しんでもいいかなぁ」



「……僕もそう思うよ。この血……すごく美味しい」



「え?これは僕が見つけたからクローリー君にはあげないよ?」



「……酷いなぁ。捕まえてあげたのに」



「今回だけ特別に捕まえさせてあげたんだよ」



フェリドは、かなみをクローリーから引き剥がす。




「二人で吸ったら満足に吸えなかったしね。今度は一人で吸わせてもらうよ」



「……ほんと勝手だなぁ。まぁいいけど」




クローリーは眉を下げて笑った。




「まぁ気が向いたら僕にも吸わせてね」



「あはー……気なんて向かないよ」



フェリドはかなみを引き寄せ、首筋をペロリと舐める。



「僕の玩具なんだから……壊れるまで……遊んであげる」




ニヤリと笑えば



かなみは少しだけ苦しそうな顔をした。










【end】
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