request(旧)

□※救ってあげる
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しばらくして……


再びフェリド君に呼び出された。



「今日はなんなの?」




そんなことを聞けば



「僕の玩具で勝手に遊んだでしょ」



そう言われ、僕は少し考えてから



「……すごいね。分かったの?」


小さく笑う。


「牙痕が一つ増えてたからね」


フェリド君は笑わずに言った。


「君の彼女への執着心は怖いなぁ」



僕は少し焦りを覚えた。


バレてしまうことは想定外だ。



そこまで執着しているとは思っていなかった。


今すぐに殺されてもおかしくないことをしたかもしれない……と。



「ま……次吸ったら……殺すよ」




フェリド君はようやく笑った。



どうやら……


助かったようだ。



「じゃあ、もうあの部屋には行くなってこと?」


「吸わないならいいよ」



吸わないなら……



それでは、行く意味がないと思った。



あの血に興味があるのだから。



だが……




「分かった。吸わない」


「なら、どうぞ」



フェリド君はニヤリと笑ってから



「吸ったら君の首を折っちゃうからねー」



「……吸わないって。君を敵にして生き残れるなんて思ってない」



そして僕は……



血も吸えないというのに、彼女……かなみに会いに行った。




ギィィィ……




カツ……カツ……





暗い部屋の奥に、手をダランとさせ……繋がれている。



気を失っているのか?




「……起きてる?」



そう声をかけると




ゆっくりかなみは頭を上げた。



『……クローリー……か』




首筋から血を流している。



どうやら吸われたばかりのようだ。



にしても……



「フェリド君は意地悪だなぁ……」



かなみの血の匂いが……



吸血欲求を奥底から呼び起こす。



「フェリド君に君の血を吸うなと言われてるんだけど……」




『じゃあ諦めて…………っ!?』





僕はしゃがみ込み、かなみの首から流れ落ちる血を舐めあげた。




『っ…………』



「吸いたいけど……これで我慢するよ」



その数滴程の血でも、十分に渇きが満ちていくほど



かなみの血は格別だった。
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