request(旧)

□※救ってあげる
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頭がボーッとする。



もっと吸われれば……死ねたかもしれないのに……





目の前にしゃがみ込んでいる吸血鬼、クローリー・ユースフォード。



格好を見れば、こいつも貴族だとすぐに分かった。




私の血が、こいつらに気に入られたからなんだという。


こんな暗い部屋に閉じ込められ……



ずっと二匹の吸血鬼から血を吸われ続ける生活なんて……



『必ず…………私を殺させてやる……』



「あはは、頑張って」



クローリーは、期待はしてないよ、というかのように笑う。




「僕はね、フェリド君の派閥に入ってるんだ。一応仲間だから、フェリド君の大事な玩具を勝手に壊したりはできないんだよね」



『私は別に……大事な玩具なんかじゃない。……ただの……餌だよ』



あいつが血を飲みたくなれば、拒否権なんてなしに私は血を吸われる。



そして、用がない時は……


こんな真っ暗な中に閉じ込められる。




「んー………いや?大事だと思うよー?ここまでして君を繋ぎ止めて置きたいんだから。どんなことにも無関心なフェリド君がここまでするって……相当気に入られてる」



『全然嬉しくない』


「あはは」



クローリーは小さく笑い



「それに、僕も君の血は気に入った」



『ほんと……全然嬉しくない』


こんな血……全て無くしてしまいたい……




「さ……そろそろ僕は帰るよ。また君の話し相手として来てあげるね。バイバイ、かなみ」



ふわりと笑って、クローリーは出て行った。


また……

この暗い部屋で一人ぼっちだ……









しばらくすれば

フェリドが帰ってきた。




「ただいま、かなみちゃん」




私はいつと通り無視をする。




「つれないなぁ……。ま、いいけど」



フェリドは私の頭を掴み


「少し遠出して疲れたんだ。君の血をもらうよ」



彼は首筋に近付いた。


「…………ん?」




首筋に牙は貫通しない。


代わりに、彼の指がツウっと首筋をなぞった。



「…………これ……僕の牙痕じゃないねぇ」



そう言って、フェリドは牙痕に爪を立てた。



『っ…………』


「全く……ダメじゃないか。なんのために君をここに監禁してると思ってるの?」




『部屋に…………あいつを入れたのはあんたじゃない』



「血を吸わせていいなんて言ってないよ」



どう拒めというのか。



こんな状態で……




「お仕置きとして、今日は多めに吸わないとね」



フェリドはそう言って



いつもより深く……私に牙を突き立てた。
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