request(旧)
□※救ってあげる
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露わになった彼女の首筋に、牙を突き立てた。
柔らかい肌に、簡単に貫通する牙。
そこから暖かい血が溢れてくる。
溢れる血が、ゆっくり舌へと運ばれ……喉に通る感覚。
彼女は僕を拒もうと、必死にもがく。
だが、壁に繋がる鎖のせいで、僕の身体に触れることさえできない。
ガシャン
ガシャン……
虚しく鎖の音が響く。
そして、しばらくゆっくりと吸っていれば……
諦めたのか、鎖の音が小さくなっていき……
やがて、音はしなくなった。
静かに、吸血行為を受ける彼女…
血の味が薄くなってきた……
そろそろやばいかもしれないと牙を抜く。
「…………ふーん…………フェリド君が夢中になるのもわかる味だなぁ」
口から垂れる血を舐めて、彼女を見ると……
虚ろに……こちらを向き
『もっと……吸ってよ……』
「それ以上吸ったら死んじゃうからね」
『だから……殺してって言ってるの!!!!』
大声を上げた後、彼女はフラッと頭を下げる。
「貧血なのに大声出したらダメだよ」
僕は彼女の側にしゃがみ込み
「僕の名はクローリー・ユースフォード。……そうだな、君の血を飲ませてくれるって言うなら、話し相手になってあげてもいいよ?」
『ふ……ざけるな……誰が……お前なんか……に……』
「話してたら……いつか君を殺したいって思うかもしれないよ?あんな安っぽい挑発には乗らないけどね」
『っ…………』
「名前……なんだっけ?」
彼女は悔しそうに唇を噛んで
『…………かなみ……』
と小さく言葉を発した。
「かなみ……か。よろしくね。……君の血……すごく美味しかったよ」
確かに……
血の舌触り、味、匂い、すべてが今まで飲んだことないようなものだった。
かなみの血には……
僕も少しだけ興味がもてた。