request(旧)
□※救ってあげる
4ページ/12ページ
頭がボーッとする。
もっと吸われれば……死ねたかもしれないのに……
目の前にしゃがみ込んでいる吸血鬼、クローリー・ユースフォード。
格好を見れば、こいつも貴族だとすぐに分かった。
私の血が、こいつらに気に入られたからなんだという。
こんな暗い部屋に閉じ込められ……
ずっと二匹の吸血鬼から血を吸われ続ける生活なんて……
『必ず…………私を殺させてやる……』
「あはは、頑張って」
クローリーは、期待はしてないよ、というかのように笑う。
「僕はね、フェリド君の派閥に入ってるんだ。一応仲間だから、フェリド君の大事な玩具を勝手に壊したりはできないんだよね」
『私は別に……大事な玩具なんかじゃない。……ただの……餌だよ』
あいつが血を飲みたくなれば、拒否権なんてなしに私は血を吸われる。
そして、用がない時は……
こんな真っ暗な中に閉じ込められる。
「んー………いや?大事だと思うよー?ここまでして君を繋ぎ止めて置きたいんだから。どんなことにも無関心なフェリド君がここまでするって……相当気に入られてる」
『全然嬉しくない』
「あはは」
クローリーは小さく笑い
「それに、僕も君の血は気に入った」
『ほんと……全然嬉しくない』
こんな血……全て無くしてしまいたい……
「さ……そろそろ僕は帰るよ。また君の話し相手として来てあげるね。バイバイ、かなみ」
ふわりと笑って、クローリーは出て行った。
また……
この暗い部屋で一人ぼっちだ……
しばらくすれば
フェリドが帰ってきた。
「ただいま、かなみちゃん」
私はいつと通り無視をする。
「つれないなぁ……。ま、いいけど」
フェリドは私の頭を掴み
「少し遠出して疲れたんだ。君の血をもらうよ」
彼は首筋に近付いた。
「…………ん?」
首筋に牙は貫通しない。
代わりに、彼の指がツウっと首筋をなぞった。
「…………これ……僕の牙痕じゃないねぇ」
そう言って、フェリドは牙痕に爪を立てた。
『っ…………』
「全く……ダメじゃないか。なんのために君をここに監禁してると思ってるの?」
『部屋に…………あいつを入れたのはあんたじゃない』
「血を吸わせていいなんて言ってないよ」
どう拒めというのか。
こんな状態で……
「お仕置きとして、今日は多めに吸わないとね」
フェリドはそう言って
いつもより深く……私に牙を突き立てた。