request(旧)
□※貴方の手で(前編)
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身体の内側から蝕まれるような痛み。
肉が斬り裂けそうだ。
頭が痛い……内側から破裂してしまいそうなほどに……
「……今日はここまでだ。帰っていいぞ」
マスクをした男が、私の腕や首に繋がった管を抜いていく。
この研究室の研究者だ。
私の腕には針の突き刺された跡が何個も残っている。
今日はこれで終わり……
だが明日もまた……
私は服を着てから、研究室を出た。
少しフラフラする…
ふと、前を見ると……
「どうだ?調子は?」
そう尋ねてきたのは、柊暮人。
柊家の次期当主と言われている。
『……いつも通り。すごく身体が痛い』
「それだけか?……もっと薬の量を増やすべきか……」
『私を殺す気?』
「貴族を一人で倒せるほどの力がないならば、お前にはもう利用価値はない。お前は、何度ここに帰ってくる?次は殺すまで帰ってくるな。もし帰って来れば薬の量は2倍だ」
『どっちにしても死ねって言っているようなもんじゃない……』
私はため息を漏らす。
「お前には期待してるんだよ。…この実験に成功すれば、楽に吸血鬼共に勝つことができる」
『……人を実験体にして…何が期待してるよ……この外道が……』
ガンっ
『うぐっ……』
壁に押し付けられ、喉に刀が当てられる。
「口を謹めよ。お前には期待していると言ったが、俺の気分を害するようなら今すぐにでも殺してやってもいいんだぞ」
柊家とはいつもそうだ……
権力を振りかざし……私たちのような下に見ているものは人としても扱ってもらえていない。
実験体を拒否すれば殺される。
実験体になるのを拒否しなければ……いずれ薬で死んでしまう……
私には死の道しかないというのか?
「ふん……。まぁ、お前は今殺すのは惜しい。頑張ってくれよ」
刀は首から離れ、ポンっと肩を叩かれた。
そして柊暮人は、研究室へと入っていった。