short(旧)

□◎暇潰し
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「暇だなぁ……」




ソファにゴロンと横になる吸血鬼。


名前はクローリー・ユースフォード。



私はその向かいのソファーに座って本を読んでいる。



「ねー…何読んでるの?」



『……ただの小説です』



「ねー、暇なんだけど」



『…と言われても……』



一度血を吸われ、何故か気に入られてしまい、クローリーの専属の家畜とされてしまった。



でも、ほかの人たちと比べ優遇はいい。


「フェリド君も最近なんか調べてて忙しそうだし…。ね、僕の家畜なんだから少しは楽しませてよかなみ」



家畜は人を楽しませるものではないだろう……


そんなことを思っていると



「ねぇ、どこから血を吸われたら一番美味しいとかあるのかな?」



『え?』



「こっち来てよ」




これは……


行けば吸われることはわかっている。


でも、私の選択肢は……




本をパタリと閉じ、クローリーの元へ向かう。




「跨っていいよ?起き上がるの面倒だし」



『えっ…』



いつもはクローリーが上になり、無理矢理血を吸われることが多かった。


ましてや私が上に乗るなんて……



『で…でも…』


「かなみに拒否権はないはずだよ?」



"なにせ家畜だから"


と言わんばかりの顔だ。



私は観念して、クローリーに跨る。



「どこが美味しいんだろうね。やっぱ最初は無難に首からかな」



私の後頭部に手を回し、グイッと引き寄せる。



抵抗なんてできるはずもなく、私は簡単にクローリーの口元に首を差し出す形になった。



「……はっ……んっ」



彼の牙が、私の首筋に深く刺さった。



ジュルルっと身体の血が抜き取られる感じ……



「……はぁ……相変わらず美味しいなぁかなみの血は」



ひと啜りだけすれば、次は……




「じゃ…次はここ……」



首を少し捻られて、横を向けさせられる




「耳の後ろね……」



その言葉は私の耳元で発せられ、ゾクリと私の体を震えさせた。




『ひぁっ……痛っ……あ……』




いつもと違う感覚。



血を吸われる音が、鮮明に聞こえてくる。


その音はどうも卑猥で、身体を疼かせた。



「……へぇ……ここからだと…かなみ熱くなっちゃうんだね」



クローリーの暇潰しは、私をただいろんなところから吸って反応を楽しむといったものだ。
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