short(旧)

□◎守るよ
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『やだっ……来ないで!!』



「大人しくしていれば殺さない。家畜だからな」





吸血鬼……



来るな……



吸血鬼の手が私の方へ伸びる。




『やだぁ!』




ドンッ!!!!!!!



「うっ……」




急に後ろから何かに打たれたようで……



私の前倒れこみ、吸血鬼は跡形もなく消えた。




『っ…………』




「ごめんねー。びっくりさせちゃったかな?」




顔をあげれば、銀の髪……すごく美形な男の人。



長い刃がついた銃をもっている。



制服……


あれは……


吸血鬼殲滅部隊の制服……




助かったの?




ふいに安心してか……緊張が解けてか……



涙が出る。




「……怖かったよね。もう大丈夫だよ」



ふわりと頭に乗せられる彼の手。



「君、名前は?」


『かなみ…です』


「かなみちゃんか……。ここは危ない。一緒に安全なところへ行こう」



彼は優しく笑って、私に手を伸ばす。



さっきの吸血鬼の手とは全然ちがう…


優しい手……



『貴方の名前……は?』



「あぁ……僕は深夜だよ」



深夜さん。



『私…助かったんですか』




手を伸ばせば



「うん。もう大丈夫。…今から安全なところまで一緒に行こう」




私の手をギュッと握ってくれた。


「さ……僕から離れないで。バケモノがうじゃうじゃいるけど……」




怖くて彼の制服にギュッとしがみつく。




「大丈夫……。守るよ」



ふわりと向けられた彼の笑顔は、私の不安を簡単に取り除いてくれた。



「さぁ行こう」




私は深夜さんにひっついて歩き始めた。
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