僕は君に恋をしたnew

□第1章
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私はまだ、素直になりきれていないところがある。

だからこそ、クローリーに意地悪されてしまうのだろう。


『……来たらその腕斬るからね……』


鞘から抜いた天緑鬼をクローリーに向ける。
向けられたクローリーは、その刀の先を見て笑みを浮かべる。


「かなみが僕の腕を?そんな強くなったの?」

そして、一歩私に近づいた。

『っ……近付くな馬鹿!!!』


大きく刀を振り上げる。
クローリーめがけて、容赦なく。
手加減なんてしたところで当たらないし、まぁしなくたって……


「遅いなぁ……」



手首を掴まれ、少し捻られて刀を床に落とした。
そしてそのまま、廊下の壁に押さえつけられる。

ドンッ……
と背中に鈍い痛みが走る。


「ところで、なんで逃げるの?」

『に、逃げてない……』

「なんて説得力のない言葉……」


クローリーは鼻先を首筋に近づけて来る。
その瞬間、びくりと身体が震える。

「お預けなんていい度胸してるよね。そんなことしたほうが後々大変だよ?」

『き、昨日も吸ったでしょ!?今日は……』

「ご飯は毎日食べるものだよ」


クローリーは小さく笑うと、容赦なく首筋に牙を突き刺した。

『っ……』


チクリと小さな痛み、そこから快楽がどっと溢れてくる。
あぁ……もう……
吸血が決して嫌いなわけじゃないのに、こうやって嫌がってしまう自分がいる。

それは、この快楽に負けるのが恥ずかしくて、気持ちよくなっていく自分に耐えられないからだ。


クローリーはそれを知ってか知らずが、私の一番いいところに牙を埋め、感じさせるようにいやらしく血を吸い上げる。

くらくらと眩暈がする中、そんな快楽を首元に感じ、私はぎゅっと拳を握る。

好きなくせに、クローリーが大好きなくせに素直になれない。

そんな性格を彼は分かってくれているし、こんな風に無理矢理にされてしまうのだけど……


『っ……もう……無理……』


限度を分かっていない彼には、正直つらい部分を感じる。

私はずるずると壁にもたれ掛かりながら、意識を飛ばしてしまった。






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