愛し君へ

□長い長い道の先
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青天の霹靂とはまさにこのことで、突然のことに俺はただただ驚いている。始まりは一通のメールだった。



【俺のあおいに手を出すな。もう今後一切関われないようにしてやる。】



…お前は誰や?電話をかけてみても全く繋がらず、メールを送ってもエラーになって返ってくる。



頭が真っ白になっていたその時、ニヤニヤした妹が一通の手紙を俺の前に差し出してきた。
差出人は俺が待ちわびていた人。



【蔵くんへ

突然のお手紙ごめんね?蔵くん、私とんでもない身内に好かれてしまったみたい。叔父さんの息子が私を気に入ったから、ただそれだけの理由でこっちに来ることになってしまったようなの。おばあちゃんに話してたことや文章は全部作り物で。私を自分のものにしようと携帯も取り上げられてしまって…連絡できそうになかったからこうしてこっそり手紙を書いています。
自分の思い通りにならないと私の大切な人に手を出すって言われてしまったんだ。お婆ちゃんと蔵くんに何かされるのは嫌だから携帯は使わない、蔵くんに会いに行かない、これを守るなら何もしないって約束させたから今は言いなりになっている私を許してください。
蔵くん、私高校卒業したら大阪へ帰りたい。あの家に帰って、またお婆ちゃんと3人で笑ってご飯を食べたい。必ず四天宝寺大学に行くから、またそこで会えるといいな…。
私はずっと蔵くんが大好きです。蔵くん以外に触られるのなんて絶対嫌だよ!けど3年もの間会うことができない私に縛りつけるのはワガママだから…もし、私以外のいい人がいたらその人と幸せになってね…?本当に大好きで愛していたよ。今もこの先も、その気持ちはずっと変わりません。未練がましくてごめんなさい。大好きな貴方にまた会えますように。




何やねんこれ。慌ててあおいの携帯に電話してもメールしても、もう届かへんかった。これは本当のことなんやな…俺はどうなったってええんやで?あおいのためならどんなことだって耐えられるわ。せやけど…おばあちゃんには何かあったらあかんもんな。


俺はそっとその手紙を机の中にしまいこんで決心した。また、必ず君に会って壊れるほどに抱き締める。俺かてあおいのことあおい以上に大好きやし愛しとんねんで?この世界にただ一人、俺が唯一愛した女性。大丈夫、きっとまた会えるから。君がどこにいようと俺がまた見つけ出してみせる。
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