君との約束〜Another story〜

□それぞれの道
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高校を卒業し、あたしは大学の看護科へ。ブン太は理学療法師を目指しそれぞれの道へと進んだ。



ブン太は‘やっぱ俺は体動かす仕事じゃねぇと絶対向いてない!医者は無理だけど…スポーツに携われて人を助けられる仕事って考えたらここに辿り着いた!’



そう言って大学の専攻はあたしと違ったが、キャンパスは一緒だ。あのブン太が医療系の道に進むだなんて想像もしていなかったが、お互い助け合えそう…かな?


看護科は課題と履修科目が多く、勉強しても勉強しても終わりが見えない。実習も入ってくるから四年間は多忙だ。
それでもブン太とは時間が合えば一緒に帰り、テニスサークルに入り趣味の時間も作った。大学に入るとブン太との距離が遠くなりそうな気がしていたが、互いに自立しながら変わらずの関係でいた。


ただ…やはり心配なことはいつも1つ。ブン太はどこに行っても目立つからモテるんだ。大学に入り更にカッコよくなった。大学に入り私服通学になり、オシャレなブン太は更に目立つ。学科は違うはずなのに、色んな所でブン太のことをちらほら女子が噂している声が聞こえてくる。あたしが意識して聞いているからかもしれないけど。


それでも、ブン太はあたしと付き合っていることはきちんと周りに伝えてくれているようだ。そりゃそうだよ、もうかれこれ付き合って12年。小学校の頃は恋愛らしい恋愛はしていなかったけれども…生まれたときからずーっと一緒だから。


小テストがあるから今日はサークルに行かず図書室で勉強していた。そうそう、サークルでもあたし一応マネージャーなんです♪ただ、看護科は多忙だから他にも数名マネージャーがいて協力し合って回してる感じ。


勉強を終えようとしていたところにブン太からメールがきた。


「今どこ?サークルに顔だしてて今から帰るとこだから一緒に帰ろう!」


『図書室にいたの♪うん!今テニスコートの方行くから待ってて!』


そう返信し、テニスコートへと向かった。遠目から見てもよく分かるあの赤髪。その周りには数人の女子が群がっている。歩みを止め、その光景を傍観していた。するとブン太があたしに気付いたのか群衆を掻き分けあたしの方へと進んできた。


「愛美お疲れ♪さぁ、帰ろうぜぃ!」


周りにいた女子生徒の視線があたしに向く。見られているというか…睨まれてるというか…。
その場に居づらくなり、思わずあたしはその場から走り去ってしまった。


「おいっ、待てよ愛美!」


後ろからブン太があたしを呼ぶ声がする。足の早さでブン太に敵うわけがなく、あっという間に追い付かれた。
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