彼岸の花

□第二章 魔刀
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「さて、では朽木サン。あそこで何があったのかお聞かせ願えますか?」
人々が寝静まる時間帯、一護が姿を消したということもあり現世にいる仲間にも話したほうがいいだろうという事で、井上織姫、石田雨竜、茶渡泰虎の三名も浦原商店に集められており、ルキアは織姫の双天帰盾により傷を癒し浦原に事情を求められていた。
ルキアは一言「もう大丈夫だ」と織姫に声を掛け、浦原の問いに答える。
「正直なところ…私にもよく分からないのだ…」
「分からない、というのは?」
「あの場所で一護に会うまでの記憶がない。その間私が何をしていたのかも分からない…気付いた時にはあの場所にいた」
一護に出会うまでの記憶は無いに等しいくらい曖昧だった。まるで闇をそのまま反映したような空の下を何時間も彷徨っていた感覚があったのは覚えている。やっと光が見えたと思えば、ルキアはあの場所で目を覚ましていたと言うのが正確な情報かもしれない。
けれど、ルキアには一つ気掛かりなことがある。目を覚ます前の、ルキアが現世に最初に降り立った場所で見た一振りの刀の事だ。
「一護があの時持っていたあの刀は、私が現世のとある場所で見つけたものだ。何故一護があれを持っていたのだ…?」
「…朽木サン、アナタはその刀に触れたんですか?」
「触れた。いや、触れさせられたと言った方が正しいかもしれぬ」
その言葉を聞くと「やはりですか」と浦原は目を細める。
「…かつて尸魂界に一振りの魔刀がありました。名を「緋願花」。その魔刀は斬魄刀に取り付き、その力を吸収して成長する刀で多くの死神が殺され、宿主となった死神も緋願花の力に耐え切れずに死んでいきました」
緋願花の力は吸収する度に強大となっていく。
故にその力を求めた死神が後を絶たなかった。そしてそのまま侵食するかのように緋願花は死神達から力を奪い成長していった。
これを見た四十六室は緋願花が死神の手に渡らぬよう現世へと封印。その存在は隠密機動総司令と護廷十三隊総隊長のみが知る最重要機密になっていた。
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