物語

□この愛は
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黒崎一護の弟であるコンは悩んでいた。
言わずとも今目の前で雑誌に目を向けている兄の一護についてである。ここ最近、コンに対して一護はあまり構ってくれなくなったように感じる。忙しいというわけじゃない、悪さをして怒らせたというわけでもない。
何かと理由を付けてはコンから逃げているようにも感じる行動に、不満だけが募っていく。
「一護、いーちーごー。そんな雑誌読んでないで遊ぼうぜ」
「んー、また今度な」
口を開けばこれである。
これ以上、なにを言ってもまた同じ問答が続くと察し、コンはむすりと口を閉じた。一護は気にも留めてない様子でペラペラと雑誌の続きを捲っている。いい加減、雑誌に嫉妬してしまいそうだと、コンは小さく舌打ちをした。
コンは、一護のことが好きだ。好きといっても一般的に兄弟に向けるような好意じゃない。むしろ異性や恋人に向けるような好意だ。兄弟じゃ無く、一人の人間として、コンは一護のことが好きだった。愛している、そう言えるくらいまでコンの想いは成長するにつれ膨らんでいる。
「一護」
こっちを見て欲しい、その綺麗な目に自分を映して欲しい、自分の名前だけを呼んで欲しい。
膨らみ続ける愛はやがてコンの心を歪ませていった。
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