物語

□その目が
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「お前の目って」
憎たらしいほど綺麗な目だよな。
白の言葉に一護は呆然とする。冗談だろう、と目の前の白い自分を見るが、その顔はいつもの小馬鹿にするような顔じゃなかった。
じっと、無表情の金色の双眸が自分を見つめている。
「いきなりなんだよ、気持ち悪ぃな…」
「素直に感想を述べてやったんだ、殺すぞ。」
「へーへーありがとうございます。」
言ってやればまたいつもと同じ言葉が白の口から吐き出される。
なんだ、気のせいか。と顔を背けても、こちらを見つめる金色はそのままで。最初の白の言葉から数分、変わらずこちらを見つめる、否、一護の目をまるで宝石でも見るかのような目で見つめ続けていた。
そろそろ我慢の限界だと、一護は勢いよく白の方へと向き合う。
「お前さっきからなんだよ!人のことじろじろ見てきやがって!なんなの!?暇なの!?」
「暇だからテメェの目でも見てたんだろうが。相変らず察しの悪ぃ奴だ。」
「暇だから俺の目見てるってどういうことなんだよ!目フェチかテメェは!!」
ぜぇぜぇと息を切らしながらそこまで言い切ると、少しの静寂。
また文句を言ってやろうかと考えてた一護より先に静寂を破いたのは白だった。
「目フェチか、あながち間違っちゃねぇけどな。」
「は?」
真顔のまま白は続ける。
顔だけを一護に向けていた体勢を直し、完璧に一護に向き合う体勢を取ると、一呼吸おいてまた口を開いた。
「一護、俺はテメェのことは気にいらねぇが、テメェのその目は結構評価してんだぜ。宝石で琥珀だっけか?それに似ててよ。色んな感情で色を変える、その目が俺は気に入ってる。」
だからな、と白は一護との距離を狭める。ゆっくりと伸ばされた白の指先が一護の目尻に触れた。
「俺はその目が欲しい。」
「…え?」
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