Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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休憩ついでに灰崎に渡すドラグノフを整えた。慣れた人でなくとも、ある程度は使い物になるであろう物になった。でも、わざわざこれを整えずとも、国内産のマークスマン系を使えば良いのではないかと思う。人のが良いとか、小さい子供みたいだ。

しばらくして、一年棟の渡り廊下へ続く扉の前へと移動してきた。次の探索メンバーとはここで待ち合わせをしているのだ。そろそろ時間である。

「みのりっち、一緒っスね。よろしく!」
「こちらこそよろしく。今回はアタッカーとして頑張れ」
「ヘマはしないっスよ」

海常メンバーが職員室から出てきた。多分参謀組から作戦を詳しく説明されたのだろう。灰崎と虹村くんには私が話しをした。同じ武器庫地下にいたから、彼らの休憩中にちょくちょくと。後から赤司くんが来て説明していってくれたから、抜けもないだろう。
そんなことを考えていたら、手が掴まれた。

「みのりさんは俺が守ります」
「ああ…。ありがとね、森山くん」
「痛っ!」

手を取ったのは森山くんだった。真剣な場面ではかっこいいんだけど、普段はなんて残念なんだろう。大体、顔は良いのだから普通にしてればモテそうなのに。思わず首を傾げていたら、笠松くんが森山くんの後ろ頭を叩いてくれたようだ。手がやっと離れた。

「いい加減にしろ、森山!」
「笠松、落ち着いて。森山はまだ大したことしてないよ」
「大したことしたら問題だろうが」

笠松くんの言うことも尤もであるが、小堀くんの方も頷ける。多分森山くんは大したことなんてしないだろう。こういう発言に騙される部分はあるだろうが、意外とウブで、多分誠実だ。残念なところに目を瞑れば、結構良い物件なのではないか。

「よう、モテてんじゃねえか。みのり」
「モテてないし、そんなに嬉しくない」

武器庫方面から来て、私に声を掛けたのは灰崎だ。横には虹村くんもいる。私が見た限り、ギリギリまで動いていたようだったが、疲れている様子はない。全国区の運動部員は違うなあ、と思いつつ、ドラグノフを一本差し出す。

「ほれ、これなら普通に使えるはず」
「おう。…ん、悪くねえ」
「そ、なら頑張って」

私が使うドラグノフよりも大分価格帯が上のドラグノフだ。質が良いから普通はそちらの方が使いやすい。万人受けし易いようには整えてあるから、灰崎なら問題なく使えるだろう。
スコープを覗き込んだ灰崎は納得した様子だ。

「みのりっち、ショウゴくんに銃作ったんスか?」
「え、うん。こっち使われるのは嫌だし、他の人じゃ使い辛いだろうし。灰崎が使い物にならなかったら困るのこっちだし」
「へー」

りょーたんはどこか不満顔。対して灰崎はそれを見てにやにやと笑う。聞いてはいたが仲は宜しくないようだ。だから赤司くんがそれぞれの配置を指定したのか、と納得した。

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