Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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「弓削さん、どうしてここから…?」

資料室を出たら丁度赤司くんが通り掛かった。後ろにいる陽泉メンバーに目をやっていたから、素直な驚きであろう。普通に考えて、探索から帰って即資料室に直行はしないし。そこまでは分かっているだろう。視線に疑いの要素は無かったし。

「ちょっと色々あってね。ショウちゃんとマコちゃんは職員室? 集まれるようなら報告が色々とね」

ルールを見誤ったなんて言ったらマコちゃんに鼻で笑われそうだ。ダセェって。複雑だなあ。それを隠さずに顔に出したら、読み取ったのか赤司くんがくすりと笑った。

「お疲れ様です。花宮さんは職員室ですが、今吉さんは武器庫にいます。そろそろ職員室に来るかと思いますが、呼んできますか?」
「んー、いや、大丈夫。待ってる間、分かる範囲で二階の地図作ってようかな」

二階のゲームルールとかゾンビ犬のこととかも纏めておきたい。作成するものを想定していたら、福井くんがいきなり「あー!」と言って頭を抱えた。何事だ。

「やべっ、マップの把握がとか言っておいて忘れてた。B地点までしか詳細が分からねえ…」
「ああ。それならA地点は見てきたよ。カウントが止まってないことに気付いてから動いたから把握量は少ないかもだけど。曲がってすぐ落ちたし。でも、渡り廊下の方はあっくんが見てくれてるし、ある程度は想像できる感じじゃない?」
「マジか、サンキュー。無駄足になるところだった」

福井くんの心配はクリアした。が、今度はあっくんが驚いた顔をしている。

「なんだい、あっくん」
「何で分かったの? 渡り廊下歩いてみたって。そんな予定無かったし、会わなかったよね?」
「音だよ。渡り廊下音響くでしょ。銃の音とかしない時は聞こえてたんだよね、大分歩幅が大きいずっしりした足音。あっくん、身長規格外だから足も当然一般より大分長いでしょ。ゾンビは一般サイズばっかだから、あっくんの足音だって分かったのよ。同じような大きさの岡村くんや劉くんはB地点にいたしね」

なるほど、とあっくんが納得したのを目に入れる。丁度職員室に着いた。職員室にいた子に無事を示す為に笑顔で手を振っておく。そして、ドラグノフとショルダーバッグを纏めて壁の方へと寄せて置いて、応接テーブルの定位置と化す位置に座った。

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