Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
53ページ/65ページ



福井は氷室にスナイパーを倒すよう指示を出した。氷室は微笑んで頷き、一切の表情を消してから動く。一撃で倒せれば氷室なら問題ないだろう。逆にそちらに人数を割くとこちらの動きを悟られ易くなる。
その代わり福井は、ライフルマンの方には人員を割くつもりでいる。派手に音を立てることで残りのゾンビに動揺を与えられる、また、慌てて動いたら索敵が楽になる。両方福井の願望みたいなものではあるが、動かなければ動かないで大きな損はない。

氷室がちらっと目に映った。みのりの情報と照らし合わせると、もう狙いを付けられる位置であろう。ならばこちらも動くか。福井は後ろに控える二人に目線を送る。もうライフルマンを狙えるように近付いてきている。だが、まだ遠い。主に岡村がとっても目立つ為に寄りきれないのだ。
だが、福井だけであればもう少し近付けた。近付いているのはバレているようでピリピリとした空気を感じる。

そろそろやるか。そう思ったところで岡村がライフルマンに向かって連射を始めた。
流石同輩。考えることは一緒らしい。福井はそう思いつつライフルマンの動きに注目する。
岡村の射撃は当たらないだろう。良くて掠る程度だ。ダメージにはならない。だが、岡村の方に注目させておけば、福井や劉への注意は向きにくくなる。当たらない、というのもライフルマンが遮蔽物に隠れるからだ。撃っている間は岡村に危険はない。横から撃たれたら不味いが、後ろは紫原、ここら辺一帯はみのりが目を光らせている。みのりが自称するには、どんなに上手に隠れていても気付く、とのこと。信用するなら問題ない。

岡村の射撃が途絶えた。一拍置いて遮蔽物から出てきたライフルマンのゾンビを福井と劉は狙う。ゾンビの目には岡村しか無いようだ。辺りを見回す仕草がない。大方自陣にスナイパーがいるからと油断しているのであろうが、そのスナイパーは既に氷室が仕留め終わっている。
福井は劉に顎をしゃくって見せた。何の取り決めもしていないが、劉は合図だと正確に読み取った。福井と劉の銃撃がゾンビを襲う。あっという間もなく、ゾンビは地に倒れた。よし、これで人数はおあいこだ。そう思いつつ福井は、すぐに場所を変えろ、と指示を出した。

●●
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ