Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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手早く作戦会議を終わらせるとカーテンの奥に飛び込んだ。作戦といっても大した話はしていない。どういう攻め方をするか、それぞれの役目、それを確認した程度だ。

このルールでは索敵力が物をいう。多くても8体であろう敵を全体先に見つけ、有利に倒せば人数が少なくとも勝てるのだ。隠れる場所というのは割と限定できる。防御側の敵は爆破対象オブジェクトの周りにいるはず。遠くてもそのオブジェクトが見える位置にはいるから、索敵に秀でた私は見つける自信があった。
だが、先に見つけるにはこちら側が先に見つけられないようにする必要がある。それがなかなか難しい。2mを超える3人はどうやったって目立ってしまう。重量武器のあっくんは特に不味いのだ。うつぶせで移動、からの発砲なんて芸当、20kg抱えてたら不可能だし。だから、あっくんは後方で、裏取りされそうな所に潜んでもらうことにした。

カーテンから出てすぐ右、絶妙にカーブを描いた渡り廊下があった。一年棟への入口方面へと繋がっていそうだ。これを使って裏を取られたら凄く不利になる。
福井くんがあっくんにここにいろと目線で指示する。あっくんは緩く頷いて渡り廊下方面から死角になりそうな位置に隠れた。

あっくんにそこを任せて私たちは階段を出て右方向へとなるべくバラけて進んだ。先頭は私だ。
ただ、私の役割は偵察。敵を見つけてその位置を教える役目である。この面子の中で唯一と言っていいくらい見つかり辛いからである。福井くんと岡村くんはハンドサインをカズくんから教わっていた。これで無言でも指示が可能である。氷室くんと劉くんには数字と方向の示し方だけ教えた。これで何とかなる。

私は早速一体発見した。後ろのみんなにはストップを掛ける。このルールで一体が単体でいるのはおかしい。絶対どこかにもう一人はいるはず。
目を凝らしたらスナイパーがいた。オブジェクトが複数あるならば、4:4で別れて、更に2:2で前のめりの守りと後退気味の守りといったところか。3:5かもしれないからと良く探したがその二体であるようだ。

(二体発見、ライフルマン、真正面の障害物の裏。スナイパー、右前方、2時の方角、30m先)

そう福井くんに見える距離でハンドサインを出すと、オーケーサインが返ってきた。それを確認したら放っておいて先に進む。

私は要望がない限りは撃ち合いに参加しないことにしている。でないと見つかるからだ。一度見つかってから隠れ直すのとずっと見つからないでいるのでは、後者の方がずっと楽である。
さて、片方は多分氷室くんが潰す算段であろう。音が小さい銃だし、あの中では銃器等諸々含めて身軽だ。でも、もう片方は誰がやったって音が出る。敵さん、慌てて出てこないかな。呑気なことを思いつつも真剣に身を潜め、茂みに目を光らせた。

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