Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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なるべく纏まって氷室くんのところまで移動してきた。一応周りを見回してから氷室くんには降りてもらった。上からも確認はしてくれたようだ。

「近くにはいないようだよ」
「じゃあ、先進むぞ」

笑みを交えて氷室くんはそう教えてくれた。福井くんの声掛けで止まっていた足を再び動かす。今度は数が少ないとみて先頭は氷室くん。彼には近付いた犬の討伐を任せる。すぐ側に私が控えた。ドラグノフをすぐに撃てるようにしておく。これで遠目に敵を見ても対応出来る。あまり来ないであろうが後ろを劉くんが、横は福井くんが見ている。弾幕系の銃は何かがあった時の為に温存しておくことにした。

「みのりさん、どう思う?」

遠くから向かってきたゾンビ犬を一体倒したところで大木の辺りまできた。そこで福井くんから声を掛けられた。フィールドで声を出すのはあまり良くないが、主な敵が犬ですぐバレるから良いかと思いつつ、ちらっと彼を伺った。彼は遠くを眺めている。

「どうって?」
「今のゾンビ犬、正面から来たべ? そっちいた奴らはほぼ掃討できてるはずだ。こっちに向かって来てたから」
「うん。上から降りてきた奴かもね」
「でも、単体だった。それがなんか引っ掛かるんだよなあ」

うん、私も引っ掛かる。
ここに入ってすぐは大体のゾンビ犬が団体様だった。狼とかが群れで行動するのと同じだろうか。でも、一旦団体のご来店が静かになったら今度はお一人様だ。
また一匹こちらに向かってきている。すぐに構えて難なくドラグノフで仕留めた。また一匹だけだ。この間、約一分。来た方向は左斜め前方。

例えば、階段それぞれから降りてきているとして、一分毎、順番、もしくはランダムでどこからかゾンビ犬が沸くとしたらどうだ。
桐皇はどこから犬が出てきているか、正確に把握出来た訳ではない。この考え方も出来る、という訳だ。限りがあるなら放っておいてもいつかは終わる。しかし、もしどこかで沸いているとしたら、これがずっと続くのはいただけない。

「どこから来てるのか、確かめないとね」
「そうだな」

進行方向を左へと変えながら、福井くんに振った。彼も同じことを考えていたのだろう。すぐに頷きを返してくれた。
取り敢えず、奥まで行かないととしっかり前を見据えた。

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