Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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「よっしゃ!また俺の勝ち!」
「なんでじゃ!」
「福井くん上手いねえ。岡村くんはもうちょっと肘楽にした方がいいかなあ」

話が良いところまで行ったため、頭の休憩がてら福井くんと岡村くんに試射を見せてもらいたいとお願いした。二人とも二つ返事でオーケーしてくれたのだが、それだけじゃあつまらない、と福井くんが言い出した。彼は割と愉快犯タイプなようだ。気が合いそう。
ルールは、持ち弾10発に対して何発的に当てられるか、という単純なものだ。一応当たった場所で得点分けもして、私が得点を計算しておく。罰ゲームは腕立て20回。

と、ここまでルールを作っておいて私は結果が分かっていた。岡村くんはMP5A5 HS。軽機関銃だ。撃ちながら調節するような代物である。対して福井くんが持っていたのはSCAR-L CQC。SCAR-Lのショートバレルバージョン。近接向きにバレルカットされた小回りの利きやすい銃だが、元が元だ。精密性は良い方の銃である。どう考えても不公平だ。
多分福井くんは分かっているとみて、わざと口出しをしなかった。案の定岡村くんが連続で負けた。
今目の前で一生懸命腕立てをしている岡村くんに見てもらいたい。作戦通り、とでも言いたげな福井くんの良い笑顔を。

一応腕を痛められるのは避けたくて罰ゲームは途中で止めた。そこら辺でフィールドに籠っていた面々が出てきた。

「みのりっち!」
「おー、りょーたん。さっき見たよー。動き良くなってるねえ」
「本当っスか?後でサバゲーやろ!今度こそ勝つ!」
「時間空いたらやろうか。見てたら私もサバゲーしたくなっちゃった」

すぐに気付いて寄ってきてくれたのはりょーたんだ。目の前で止まったが飛びつかんばかりのテンションだったからか、すぐに笠松くんが駆けつけて蹴り飛ばした。ダイナミック。別にテンション高く話し掛けられるのは良いんだけど。でも笠松くんに突っ込むのは止めておいた。天使がどーのこーの言い出した森山くんもしばいてくれたから。

色んな意味でアグレッシブな海常高校を見ていたら、後ろ頭にこつん、と固いものが軽くぶつけられた。後ろを見ればキヨであった。持っていた銃のバレルで小突かれたようだ。

「お疲れさん」
「姉ちゃんもう平気なのか?」
「うん。もーバッチリ」
「あっそ」
「心配どーも」

ちょっと素っ気ないが周りに人がいるからである。それくらいのツンは翻訳出来るからにやにやしてしまう。それを察したのか舌打ちされた。

「お話があるんですが」
「ああ。来ると思ってた」
「じゃあ、福井くん、岡村くん、後で宜しくね」
「おう」
「頑張ろうな」

行こう、と言われて頷き、置いていた銃を肩に担ぐ。福井くんと岡村くんには声を掛けておいた。挨拶大切。
彼らに手を振ってからキヨの後について行く。キヨが先導して着いたのは資料室だった。

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