Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
34ページ/65ページ



声は抑えているが賑やか声音と甘い香りを感じて目が覚めた。目を擦りながら起き上がると、そこにはリコたんとさっちゃんに加えて、レオちゃんとショウちゃんがいた。テーブルにはクッキーと紅茶が並んでいる。

「先輩、おはようさん」
「お早う。いつの間にか寝てたわ」
「落ちるの早かったわよ」
「うん。とっても気持ち良かったから。ありがとう」
「いいえ」

リコたんとさっちゃんにお礼を言ってから伸びをする。疲れていたはずなのに肩がものすごく軽い。足も浮腫んでいたはずなのに、浮腫みも取れて足の疲れが飛んでいる。どんな魔法を使ったのだろう。
すごいなと思っていたら目の前にクッキーをひとつ摘んだ手が差し出された。その手の先を見ればレオちゃんが微笑んでいた。綺麗な顔してるなあ。

「クッキー好きかしら」
「うん、好き。ありがとー」

そのまま口元に運ばれたから、あーん、と口を開けて食べさせてもらった。噛むとサクサクで、仄かにハチミツの香りを感じる。

「ん、美味しい!」
「実渕くんが作ったんやて」
「へー。レオちゃんすごいねえ!」
「ふふ、喜んでもらえて良かったわ。良かったら紅茶もどうぞ」

どうやら女子会に近い事をやっていたようだ。多分女子が少ないからとレオちゃんは気を遣ってくれたのだろう。ショウちゃんは情報集めで偶然居合わせたってところか。赤司くんは分からないが、マコちゃんなら女子会に遭遇したら避けるだろう。というか、普通男子なら退散しそう。そこで居座れるショウちゃんは流石だ。図太いというか、変わってるというか。
空いていたカップに注がれた紅茶は特徴的な香りだ。ベルガモットっぽい気がするから、多分アールグレイであろう。素朴なクッキーに良く合う。美味しい。そんなに警戒心を持たなくていい相手しかいないからいい具合に力が抜けた。

「先輩、後で地図見て欲しい言うてたで」
「あーうん。了解」
「それと、また力貸して欲しいんやけどええか?」

ああ、やっぱり。言われると思ったんだよねえ。じゃなきゃショウちゃんはここに残らなかっただろう。他にする事はあるだろうし。
ショウちゃんの言葉で空気がちょっと緊張した。私の疲労した様子を間近で感じた三人は心配したのだろう。でも、大丈夫。無理をするつもりはない。みんなからはぐれたら余計な心配をさせる事は学んだから、もう同じミスはしない。紅茶を置いて、わざと真剣な様子を見せずに尋ねる。

「分かった。取り敢えず、寝ていた時の事と、力を貸さなきゃいけない理由を聞きたいな」
「よっしゃ。ほんならちょっと話そか」

●●
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ