Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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キヨにやっと解放してもらった。顔が赤くなっているキヨを宥め、ツボちゃんとムラくんにも心配させたことを謝った。気を付けるようにとツボちゃんに軽く注意を貰い、ムラくんは笑って慰めてくれた。人間出来てるなあ。良い友達持ってるキヨが羨ましい。

洛山と霧崎のみんなは気を遣ってくれたのか既に職員室に戻っていた。私も秀徳の三年生達と職員室に戻る。入り口から心配してくれたらしい人達に手を振っておいて、私は応接テーブルに寄った。

「ショウちゃん、面倒任せてゴメンね」
「おかえり、先輩。ええよ。せやけどもう堪忍して」
「善処するね」
「了承して欲しかったんやけどなあ」

遠回しにまたやるかもと告げれば、ショウちゃんはため息を吐いた。くすくすと笑いながらソファーに座る。隣にはカズくんだ。

「ただいま。メモ届けてくれてありがとう」
「…みのりサン…!」

こちらを向いて言葉を失っていたカズくんに笑い掛けて、わざと軽い調子でその頭を撫でた。カズくんは目を潤ませてから、にかっと彼らしい笑みを見せてくれた。くしゃくしゃと髪を乱してやる。
途中緑間くんに目を合わせて微笑んでおいた。カズくんの側にいることで落ち着かせてくれたのは緑間くんだろう。彼は眼鏡のブリッジをかちゃりと上げて、当然と言わんばかりの顔をしていた。可愛い。

「みのりさん、校長室行きましょ」

カズくんの髪を好きなだけ撫で回した後、リコたんに呼ばれた。赤司くんか誰かに言われたのだろうか。疲れているだけだから休んでれば大丈夫なんだけどな。もしくは治療か。でも大したこと無いし。
そうは思ってもついていく事にする。参謀組とカズくんに緑間くんと別れ、校長室へと移動する。
ドアを開けて中に入ると何かに飛び付かれた。デジャヴ。
でも、今度は足は浮かなかった。代わりにすっごく柔らかいものに包まれた。びっくりした。苦笑しつつ、背中をぽんぽんと撫でる。

「ただいま、さっちゃん」
「おかえりなさい、みのりさん!」

嬉しそうに微笑んで解放してくれた。よしよしと撫でてからソファーの方へと移動する。多分参謀組のお達しだ。誰かと二人きりにしたくないからこその仕込み。でも、さっちゃんの心配は本物だと疑わない。目、赤かったし。甘やかしてやりたいな。
心配掛けないよう行動するって、どうやったら良いのかな。そう思いつつ、疲れに任せて深くソファーに腰掛けた。

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