Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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大木に近付くとスナイパーらしき姿が目に入る。木の上だ。後ろにいるカズくんに分かるように『敵発見』とハンドサインを送る。
カズくんは頷くと近くの木箱の後ろに待機した。これは元々決めていた行動だ。音を立てたくないからなるべく近付きたい。スナイパーに接近戦は有効だという面もある。その時には周りの様子を見ておいて欲しいと予めお願いしていた。私かカズくん自身が見付かってしまったら撃ってと言ってある。

私は極力音を立てないように大木の前にある木箱に寄った。途中、ゾンビの持つ銃が目に入る。多分L96。スナイパーで確定だ。カズくんに分かるようにスナイパーだとサインを送ってから木箱に音もなく飛び乗った。
デザートイーグルの代わりに仕込んだサバイバルナイフを出して、そこから木の上に移る。ここで気付かれるがこの距離ならL96は使い物にならない。発砲される前にナイフを深く首に突き刺した。
ゾンビは力無くぐったりとした。ナイフなら一撃であるようだ。もう一撃と振り上げていたナイフは木に突き刺しておいて、木の上から動かなくなったゾンビが落ちないように支える。落ちたら音が酷く鳴る。それは避けたい。それから、敵にスナイパーが居なくなったと悟らせない方が油断が誘えるかもしれない。知能が低いのは難点だから期待は薄いが。大分重かったが何とか木に引っ掛けた。
ナイフを木から抜いて血をスカートで拭ってから腿に戻す。そして、他のゾンビにスナイパーを使われないようにL96のマガジンを外してショルダーバッグに仕舞った。
木箱を足場にして地面に足を着ける。カズくんに目をやれば頷き一つ。見える範囲に敵はいない。それが分かれば行こうとサインを出して左側の壁へと寄った。

次に行うのはこの二年棟の探索。情報収集と地形の把握だ。この場合カズくんの能力は美味しい。視界が広いということは、それだけ多くを把握できるのだ。また、私にも探索に使える能力がある。スナイパーをやるにおいて必要な能力である。それは距離の把握。これでも結構正確に距離を測れる。目測と歩測に数学力を合わせるとより正確だ。大木までは入口から凡そ50m。そして、辿り着いた先、入口と対角の壁までは70m。校舎が長方形なら一年棟と大きさは変わらない。
その対角の壁には扉が一つ、そして、それに向かって右にはシャッターの下りた小部屋と思わしきものがあった。

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