Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,2
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「そう。アンプはそこ繋ぐの」
「ああ。これでも電圧上がるのか」
「そうそう」
「銅線平気か?」
「計算上はギリギリ耐える。長く使えるものじゃないね」

ちーちゃんに一台任せてみれば丁寧なお仕事をしてくれた。サプレッサーをバラしてた時から分かっていたが本当に器用なものだ。本人が興味を持っている点もあるのだろう。これなら作業は二倍の効率で進む。
ただ、問題点がある。音質が悪いのだ。離れれば離れる程雑音が入る。こればかりは元がおもちゃみたいなものだし、マイクもスピーカーも代えはない。ラジオのスピーカーではちょっと大きいし。
代替品として職員室に置いておく分はラジオを無線機に改造してしまおうかと考えている。まだラジオは残っているし。ちょっと難しくなるけど、仕方ない。てか、出来るかしら。詰まったらマコちゃんを召喚しよう。何とかしてくれそうな気がする。

思考しつつヤスリ掛けしたカバーをネジ止めしていれば職員室のドアが荒々しく開いた。

「あかんわー。桃井、青峰見てやってくれへん?」
「はい!大ちゃんこっち!」
「後、先輩どこおる?」
「ここですよー。どーした?」

ちょっと慌てた様子で戻ってきたショウちゃんを始め、桐皇のメンバーに面食らう。立ち上がってそちらを見れば青峰くんの頬に血が伝っていた。

「え、マジでどうしたの」

無線機の類はちーちゃんに任せようと視線を送る。ちーちゃんが頷いてくれたのを確認して、私は参謀組のアジト、応接スペースの方へ行く。座るようショウちゃんに促されていつもの所へ腰を下ろした。

「今吉さん、何があったんですか?」
「二年棟、先輩案件やったわ」

どういうことか。説明を聞いたところ、一年棟とは明らかに様子が違ったのだという。
具体的には、一年棟はゾンビがいる以外は普通の、割りかし綺麗な、ちょっと暗い校舎であった。
だが、二年棟。明るさこそ一年棟より僅かに明るいものの、校舎と言えるような教室同士を隔てる壁が殆ど無いのだという。偶に残っている部分もあるが極一部。広々と開いている訳でなく、例えば木箱だとか、移動式の黒板だとかが雑多に置いてある。更には校舎内なのに木が生えて、根っこが蔓延り、足場も視界も悪い。

敵も趣が違った。ゾンビではある。しかし、各々銃を手にしていたのだという。目に入った殆ど全てのゾンビが赤司くんが持つAKに似た銃を持っていたらしい。

「一体以上スナイパーがおる。青峰に赤い点、レーザーサイトっちゅうんか?アレが付いたから避けさせたんやけど、弾は一発やった。入り口付近はよう見張られとる」

そういう訳で、侵入してからしばらくは動けなかったようだ。弾幕がやんだから取り敢えず引き返したという。
確かにこれは私向きの案件だ。というか、初心者にはキツイ。かなり難しくなってきた。

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