Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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「まずは一階か?」
「そうですね」

笠松くんとマコちゃんの話す声が耳に入る。あっくんの武器は前方への強い火力であるが弾の消費が激しい。残る弾はマガジン一個分に満たないくらいだから、武器庫があり、尚且つ人も多い一階の制圧をし、準備を整え直して三階組救出が一番である。
それが最適だとは分かっていてもより危険な三階組が心配で、つい眉間に皺が寄る。すると、ぽん、と頭に手が乗った。

「大丈夫だ。宮地さんも黛さんも、みのりさんが認める実力者なんだろ?立て籠もって時間稼ぐくらいやってくれるって」

声の方へと向けば虹村くんがいた。近くにいた黄瀬くんもこちらを向いてあやすように背を撫でてくれる。

「そうっスよ。それに、赤司っちもいるから、絶対平気っス。あの人魔王だから」

魔王って。その言葉に小さく微笑むと二人も微笑んでくれた。何だか心配させたようだ。ありがとう。感謝しながら踊り場の非常階段へと行く。

「ならとっとと降りて一階奪取だね!」

そう言ったところで両手で持っていたドラグノフを横から掻っ攫われた。デジャヴ。手の主はマコちゃんだった。そのまま横を通過して階段を降りていくため、ちょっと小走りで後を追う。

「なんだよう」
「みのり先輩が重い物持ってると遅いので。合わせてる暇なんてあるわけないでしょう」
「もう、言い方悪いなあ。ツンデレめ」
「あ?」
「みのり先輩。花宮はツンデレじゃなくてゲスデレだよ」
「うっせえ、原ぁ!」

ゲスデレ、新しい。クスクス笑いつつも、マコちゃんに感謝。確かに急ぐには重いし体力持ってかれるから。
ここであまり急ぐと体力の消費が激しくなるということで、急ぎつつも早足程度に抑えて階段を降りる。まあ、私にとっては早足に抑えても体力削れるけどね。
彼らの長い足に合わせて遅れないように降りていくと一階まですぐ辿りつく。鉄格子で外には行けない仕様になっていた。何だか気味悪いから行きたくもないが。別棟に行く扉は置いておき、一階に通じる扉を薄く開く。

「あー、結構いるなあ…。でも、さっきの半分くらい?」

カズくんが覗き込んで、薄く開いた扉を閉めた。小さく銃を撃つ音も聞こえた。多分待機組が対応しているのだろう。だから減っている、と。

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