Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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「メモに嘘はないの?」
「基本ない」
「基本って?」
「まるっきり嘘なことは書いていない。寧ろ書けない、と言った方が良いか。それぞれ特例があったりもする」

なら、メモひとつひとつのことについて聞いていかなきゃならないわけか。

「《セーブゾーンは一階》ってあったけど、安全って認識で良いの?」
「イベントが起こらない限りは安全だな」
「イベント?」
「そう。僕はひとつだけ組み込んでいるよ。他のボスが組み込んでいるかは定かでない。つまりは一度は必ず、安全とは言えなくなる」
「そのイベントっていつ?」
「さあ?発動時間を明確にしてないからなあ。何とも言い難い。校内放送が掛かったらイベント開始だ。イベントは分かるようにどうにかして通知が入る。それは他のボスでも同じだ」

戦力になりそうな子は残しているが、これは不味いのでは?そう思いながらマコちゃんを見れば何か考えている表情だ。

「どうする?」
「取り敢えず質問を終わらせましょう。戦力はあるし、人数だけなら一階が一番多い。銃はなるべく携帯するように指示してあるので何とかなるでしょう」
「分かった」

取り敢えず今は情報。心配から頭を切り替える。

「《嘘つきは誰?》って誰?」
「それは言えない。別のボスを邪魔することになる」
「知ってはいるんだ」
「まあね。仮にもボスだから」

あくまで私は疑われたままですか。そうですか。まあ、信じてくれる人もいる訳だから圧力には負けませんけどね!
で、後は大事な部分だ。

「全員で脱出する方法は?」
「必ずある。しかし、難しいと思うよ」
「思うって?」
「全員で脱出する方法は必ず作らなくてはいけないというルールがある。ただ、ここを作った者はここから出したくない訳だ。だから、完全攻略は難しく設定される」

人の思惑が関係している、と。

「ここに集められた理由が全員にあるってことかな?」
「そうだね。恨み辛みがなければこんなところに連れてこないよ。こちらも遊びではない」
「君は、何故こんなことを?」
「……。キセキの彼らや悪童くんなら身に覚えがあるんじゃないかな」

少年はそこだけ声音を低くした。そんなに恨んでいるのか。りょーたんやあっくんを見れば眉間に皺が寄っている。マコちゃんはしれっとしているが、霧崎第一の評判はキヨから聞いているから、覚えがなくはないのだろうな。マコちゃんが通う高校だったとは知らなかったけどね。
恨めしげな表情をしていた少年は、「さて」と言って表情を切り替えた。

「質問はもう良いだろう。聞きたいことがあればまたここに来たらいい」
「最後にひとつ。何故そんなにフレンドリーなのか気になる」

こんなにもヒントをくれる。恨んでいる人間の言うことか?そういう思いから聞いてみれば少年は笑顔を浮かべた。

「それはね、君達が先に進んでボロボロになるのを見たいから、だよ。どんな顔で死ぬのか楽しみだなあ。ここは初めだから甘く作っている。同じ感覚で別棟へ行くと痛い目をみるよ?」

ほら、またアドバイスだ。この子、何かある。でも、それは何やかんやで言わないであろう。少年についてのことはさっきから答えてくれないから。
それなら、こんなものか、とマコちゃんに視線で問えば頷いてくれた。

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