Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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赤司は顎に手をやって考える素振りを見せる。

「なるほど。では、こういう、学校施設のフィールドはどうでしょう」
「苦手だな。単純で隠れる場所が少ねえ。下手したら俺の方が強いかも分からねえ」

当然先に見つかったら不味い。だが、みのりを先に見つける事が出来れば勝機に繋がる。距離を詰めればバレルの長いスナイパーの利点はあまりない。宮地が今までみのりと戦う対策として使用してきたひとつである。単純なフィールド程この対策が適応させやすい。

「では何故四階探索に弓削さんが行ったのでしょう?宮地さんの方がこういったフィールドでは有利でしたら交代しなかった理由が浮かびません」
「単純に命中率だと思う。俺に姉ちゃん程の命中率はない。攻撃力は十分だと判断してサポート力を見た結果だろう。命中率高めなのもいるが、命中率は一人に依存しがちな面もあるからな」

一人飛び抜けて命中率が高く、他がノーコンなのも考えようだが、それは置いておく。あの面子ならそこは考えなくても良い。全員が平均的だと遠距離射撃はただの威嚇にしかならない。そこに命中率が高い者がいれば、遠距離射撃がひとつの武器になる。学校など、こういう施設特有の長い廊下に相性がいい。

「では、黛さんと交代だったら如何ですか?」
「みのりの腕の方が断然良いから、それでもみのりだったろうよ」

ひとつ教室探索を終えた黛が出てきたらしい。宮地は驚いたが赤司は当然のように驚きはしない。赤司は黛の後ろにいた黒子と葉山に次の教室を探索するように伝え、黛と向き合う。

「どういう事でしょうか」
「ウィンチェスターでスコープも無しにおよそ30m先の標的を、10cmも外したら味方に当たるような状況で狙撃なんて真似俺には出来ない。素直な弾道とはいっても、裸眼よりスコープ使った方が当然精密射撃はしやすいわけだし。それから、海外製ドラグノフをカスタムしたとはいえ愛用するとか正気なのかと疑った。試射を見ていたが、目視で1cmもズレはなかった。まだ調整中にも関わらず、だ。完璧にカスタムを終えたらミリも外さないんじゃないか?」

狙撃を得意とする黛にここまで言わせるのだから、実力者にとってもそれは相当のものなのであろうと赤司は思う。

「まあ、どっちが狙撃手として有能かって言われたら総合的に五分五分だろうな」
「それはフィールドが学校だから、だがな。狙撃手にとって命中率も、隠密も大切だ。俺は隠密に優れる分はこういうとこで生きる」
「お前のミスディレは特殊過ぎだろ。隠密とかそういう次元じゃねえ」

半分笑って突っ込む宮地とドヤ顔をかましてくる黛に苦笑した赤司は、天井を仰ぐ。
全員無事でいてくれ。
そう願いつつ飛び出してきたゾンビの頭を撃ち抜いた。

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