Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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Kiyoshi.M side

夜中に何げなく目が覚めて廊下へと出る。図太いように見えて神経質だとよく家族に言われる。不本意だが、こういう時はその通りだと思う。
資料室なら本もあったし暇つぶしになるかと思えば、職員室の隣、校長室の戸が開いた。そちらに目をやれば、見慣れた人だった。

「姉ちゃん」
「…あれ、キヨ。何してんの?」
「それはこっちの台詞だ」

てか今背中に手をやったろ。反射的に銃に触ったな。たく、物騒になりやがって。
サバゲー会場ではトレンドマークと化すロングスカートとブーツ、上は無地の長袖シャツという無防備な格好に思わず眉を寄せる。何か羽織ってくればいいものの。仕方ないから自分が今着ている秀徳のジャージを肩に掛けてやる。俺はTシャツ一枚になるがそんなに寒気は感じない。

「いいよ。寒くないし。キヨが冷える」
「着てろ。無防備過ぎ」
「…誰も見てないけど」

姉ちゃんはむすっと唇を尖らせる。こういうことは文句を言いつつも大抵折れてくれる。俺が頑固で面倒臭いんだと。意味わかんねえよ、轢くぞ。

「で、どこ行くんだよ」
「寝れないからぶらぶらしようかな、って。勿論一階を」

解散が掛かってからもうじき二時間。一睡もしてないのか。姉ちゃん全部の探索に出てるのに、体力貧弱なのに、大丈夫なのか?眉を寄せるとそれに気付いた姉ちゃんはへらりと笑う。ただ、その下では俺の服の裾を掴んでいる。その笑い方も、裾を掴むのも姉ちゃんの癖だ。しかも自覚してるのに直さない、直らないタチの悪い癖。

「誤魔化すな。撲殺すんぞ」
「えー、やだ」

小さく苦笑してそう言う姉ちゃん。声に力が無いから相当疲れていることを感じ取る。ほんと、誤魔化してばかりなんだよな、いつもいつも。姉ちゃんの腕を掴んで引く。
休めって言ったってこの状態じゃ休めねぇだろうからと職員室の隣、校長室の逆サイドにある資料室まで引く。
何も言わずに引いたが抵抗もせずについてくる。ほんと無防備。まあ、お互いの部屋とか行き来するような仲だからだろう。他の男にこんな事やらかしてたら普通に刺す。
資料室は鍵も掛かっておらず簡単に開いた。一歩中へ入り、姉ちゃんを引っ張り込んで扉を閉めると腕を解放する。俺は部屋にあるソファーへと寄って行き、ドサッと座った。

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