Hydrangea game

□Hydrangea game Stage,1
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応接テーブルの周りに皆集合していたため、すっと全員の視線がこちらへと向く。
遅くなったから心配してくれたのかしら。3分の1はそんな視線。他は疑い、か?どうしてこうなったのか、出てきた時はここまで酷く無かったのに。
眉を顰めたくなったがぐっと堪え、気付かない振りをする。

「お帰りなさい。遅かったので次の隊の編成をしていましたが…、全員いるようですね。無事で何よりです」
「おん。数多くて時間えらい掛かったわ」

赤司くんの全員いるという言葉と、ショウちゃんの言葉にほっとしたような面々を見ながら取り敢えず職員室へと入る。

「取り敢えず、ここは解散、後でまたミーティングを行います。今吉さん、それから大坪さん、虹村さんも報告をお願いします」
「あー、赤司くん。私も報告しておきたいことがあるんだけど」

赤司くんの言葉で解散になり、各校毎に別れ始める。が、私の言葉に睨みを利かす面々が数人。んー、やり辛い。
鈍感な振りをしてやり過ごし、赤司くんに提案するが、却下された。ショウちゃんに。

「あかん。治療が先や」
「えー。でも、そんなに痛くないよ?」
「嘘だな。偶に動きが庇って見える」

あ、ツボちゃんにバレてる。実は左肩が動くと痛む。

「怪我されたんですか?」
「うん、まあ。大したことないんだけど」
「ゾンビに殴られて飛んだんや」
「うん、受け止めたからね。直に殴られてはいないから。誤解を招くから」

飛んだけどさ、受け止めたとこ大事よ?

「なるほど。その場では治療が困難な位置…背中ですかね。相田さん、弓削さんの治療をお願いしたいのですが」
「分かったわ。みのりさん、校長室行きましょう」

すげえ、アレだけの情報で背中って当てたよ。そんなことを思いつつもリコたんに引っ張られてちょいと焦る。
情報を渡す前に探索とか出られたら生存率に関わると思われる点。
それから、疑われているのにリコたんと二人きりになるのは誠凛が黙ってなさそうな点。日向くんにめっちゃ睨まれている気がする。
そうしたら赤司くんが気をきかせてくれる。

「俺も行きます。それなら解決するでしょう。こちらとしても話したいこともありますし…。勿論背中を向けておきますので」
「あー、うん。それなら」
「ほら、早く行くわよ」
「では花宮さん、纏めはお願いします」

日向くんは赤司くんの言葉に表情を和らげる。逆にキヨが顔を顰めるが、落ち着け、あんた。多分心配してくれているのだろうが、赤司くんがこのタイミングで私を排除することはないだろう。やるなら、戦力となる人材を育て上げてから。じゃないとここでは生きていけない。彼は頭がいい。最善を選ぶ。多分博打も打つタイプであろうが、勝負どころはここじゃない。信用できる。
そう思うから、大人しく校長室へ三人で入った。


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